Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第25巻 「共戦」 共戦

小説「新・人間革命」

前後
62  共戦(62)
 追善法要に続いて、山本伸一は、「山口未来会」の三十人ほどのメンバーと懇談会をもった。三年前に結成され、年長の人は、既に大学生になっていた。
 伸一は、最初に皆と記念撮影したあと、一人ひとりに言葉をかけながら、信心は、持続が大切であることを訴えた。
 「高校生ぐらいまで純粋に信心に励んでいても、大学生になって、さまざまな誘惑に負け、自分を磨くことをやめて、遊びほうけてしまう人もいる。
 また、大学時代まで一生懸命に頑張って、一流企業に就職する。すると、自分が偉くなったような気になって、貧しいなかで懸命に学会活動に励む同志の偉大さがわからなくなってしまう。そして、庶民を蔑むようになり、学会から離れていった人もいます。
 君たちには、そんな生き方をしてほしくないんです。諸君が守るべきは、民衆です。最も苦労し抜いてきた学会員です。その使命を果たすための未来会です。
 どうか、年々歳々、広宣流布への情熱を燃え上がらせていってください」
 メンバーの瞳が、凛々しく輝いていた。
 山口文化会館の庭には、北九州へ出発する伸一を見送ろうと、多くの同志が詰めかけていた。それを聞くと、伸一は、皆を大広間に案内するように指示した。時刻は午後三時半を回っている。四時には、出発しなければならない。しかし、彼は大広間に向かった。
 「これから一緒に題目を唱えましょう。特別唱題会です。皆さんの願いが、すべて叶うように、私も、しっかりとご祈念します」
 法のため、同志のために、自身の生命を削らずしては、広宣流布の開拓はできない。わが身を燃やして、皆の魂に不退の火をともしていくのだ。伸一は自らの行動を通して、それを伝えたかったのである。また、そこに、「第二の山口開拓指導」の眼目があった。
 唱題が終わると、彼は言った。「さあ、今度はピアノを弾きます!」

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