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日蓮大聖人・池田大作

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第19巻 「虹の舞」 虹の舞

小説「新・人間革命」

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 山本伸一の同志への激励は、二月十日午後、東京に戻る間際まで続けられた。
 この日の午前中には、沖縄本部で地元の職員や幹部らと懇談した。
 伸一は、愛する沖縄の幹部たちに、率直に自分の思いを語った。
 「今回、沖縄には各島などの中心者も誕生し、幹部室員の制度もでき、全国に先駆けて高校会も発足しました。
 また、さまざまな催しを通し、地域の人びとの学会への理解の輪も大きく広がりました。
 いわば、沖縄が、広宣流布の大空に、本格的に飛翔する条件は、すべて整った。その操縦桿を握るのは皆さんです。
 したがって、人を頼るのではなく、皆さんが会長の私と同じ決意、同じ自覚に立ち、全責任をもって活動を推進していかなければならない。
 つまり、新しき時代とは『弟子が立つ時』であり、弟子が勝利の実証を示す時代なんです」
 皆、決意を固めるように、真剣な顔で耳を澄ましていた。
 「沖縄は、本土に復帰したとはいえ、その前途は決して平坦ではないでしょう。基地の問題もあります。経済的にも多くの課題を抱えています。
 しかし、どんなに闇が深かろうが、嵐が吹き荒れようが、心に虹をいだいて、晴れやかに、威風堂々と前進していっていただきたい。
 虹とは、『希望』であり、『理想』であり、『大志』です。その源泉が『信心』なんです。
 最も戦争の辛酸をなめた沖縄には、世界の平和の発信地となり、恒久平和を実現していく使命がある。
 そのために、ここにいる皆さんが、宿命を使命に転じて、一人立つんです。一切は、自身の一念の転換、人間革命から始まります」
 彼は最後の最後まで、生命を削る思いで語りに語った。喉が痛み、声がかれた。それでも訴え続けた。
 さらに、次々と句や和歌を詠み、皆に贈った。
 その一句には、こうあった。
 うるま島  君立ち征けば  花の幸
 必死の一人の闘争が波動し、広がって、新しき歴史が創られるのだ。

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