Nichiren・Ikeda
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第17巻 「民衆城」
民衆城
小説「新・人間革命」
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45 民衆城(45)
メンバーは、「山本先生を絶対にオランダにお呼びしよう」と、来る日も来る日も、懸命に唱題に励んできたのである。
山本伸一は言った。
「皆さんのお題目に引き寄せられたんですね。
お題目の力に勝るものはありません。何があっても唱題し抜いた人は勝ちます。
日蓮大聖人は、『只南無妙法蓮華経とだにも唱へ奉らば滅せぬ罪やあるべき来らぬ福や有るべき』と仰せです。
題目こそが、幸福の源泉なんです。どうか、このことを強く確信して、進んでいってください。
今日は、天気もいいので、公園かどこかで、座談会を行いましょう」
小野寺誠三は、伸一と峯子を車に乗せ、空港近くの公園に向かった。メンバーも車に分乗し、後に付いてきた。
大きな風車小屋がある公園の芝生の上で、伸一を囲んで、青空座談会が始まった。雲間に輝く、太陽の光がまばゆかった。
彼は、一人ひとりに声をかけた。オランダにも着実に新しいメンバーが誕生していた。メンバーからは、仕事や病気の悩みなど、さまざまな質問が出された。伸一は、その一つ一つに誠実に答えていった。最後に、彼は訴えた。
「人生には、悩みはつきものです。要はそれに負けない自分をつくることです。その直道が、人びとの幸福と世界の平和を実現する広宣流布に生きることなんです。
広布の使命を自覚し、戦いを起こしていく時、地涌の菩薩の大生命が、わが胸中に脈動します。それが何ものにも負けない強靭な生命力をもたらし、自らの境涯を高め、広げていくんです。
皆さんは、世界広布の尊い使命を担って、今、このオランダに集った地涌の菩薩です。皆さんこそ、人びとの苦悩の闇を晴らす、希望の太陽なんです。さあ、出発しましょう。広宣流布の旅へ!」
伸一の胸には、シラーの詩の一節がこだましていた。
「もろもろの太陽が 壮麗な青空を飛びめぐっているように 兄弟たちよ たのしく君たちの道を進め。 英雄のように喜ばしく勝利をめざせ」