Nichiren・Ikeda
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第16巻 「羽ばたき」
羽ばたき
小説「新・人間革命」
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69 羽ばたき(69)
老婦人の言葉を受けるようにして、傍らの息子が口を開いた。
彼は、正本堂の供養の時は中学生だったが、自ら新聞配達を始めて、供養に参加したのだ。
「おふくろ、俺も日顕は絶対に許さん!
純粋な学会員を利用するだけ利用しとって、供養を搾り取り、そして、裏切りよった。
それに、誰よりも広宣流布に、宗門に尽くした大功労者の山本先生を切り捨て、仏意仏勅の広宣流布の団体である学会をつぶそうとした。
『彼の万祈を修せんよりは此の一凶を禁ぜんには』だ。日顕一派を打ち倒さんと、仏法破壊の根っこは断てん」
隣にいた大学生の孫も老婦人に言った。
「学会は宗門と離れてよかった。″現代の身延離山″をしたことになるんやけ。
信徒を平気で見下したり、″伏せ拝″とか言うて、日顕を見たら土下座するような宗教なんかおかしい!」
老婦人が、笑みを浮かべて頷いた。
「本当にそうやね。
仏法は勝負だ。うちらはすべてに勝って、必ず学会の正義を証明しちゃるわ!」
彼方には、秋空に悠然とそびえる、富士の姿があった。
孫が言った。
「ばあちゃん。ほら、あそこの家に、三色旗が立っちょるよ」
一軒の民家に、学会の三色旗が堂々と掲げられ、風に翻っていた。
″学会の正義は厳たり。邪宗門と断じて戦わん″との決意を込めて、大石寺周辺でも、創価の同志は、厳然と三色旗を掲げていたのだ。
御遺命の戒壇となる正本堂を日顕は破壊した。
しかし、正本堂の建立は、御本仏日蓮大聖人を荘厳したのだ。その功徳、福運は無量無辺であり、永遠に消えることはない。
一方、日顕宗は、正本堂の破壊をもって、天魔の本性をさらけ出し、邪教であることを自ら証明したのである。その罪もまた、未来永遠に消えることはない。
学会は、宗門による暴虐の嵐を勝ち越え、人間主義の世界宗教として二十一世紀の大空へ、雄々しく飛翔していったのである。