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日蓮大聖人・池田大作

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第14巻 「智勇」 智勇

小説「新・人間革命」

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52  智勇(52)
 学生運動の第三の道を開くために、新学同が結成されたことを聞いた海野哲雄は、勇んで、この運動に参加することになるのである。
 新学同は、一九七〇年(昭和四十五年)六月に日米安保条約の期限が切れることから、安保の自動延長に反対し、世界各国と平和友好条約を締結することや、沖縄の即時無条件全面返還等を掲げて、恒久平和実現の道を模索し、運動を展開していった。
 「七〇年安保」以後、学生運動は急速に下火となっていったが、新学同は、人間主義の立場から人権を守るために、公害など、環境問題にも積極的に取り組んでいった。
 だが、時代の変化のなかで、大衆運動の推進という、新学同に求められる役割も変わり、新たな時代を創造する理論集団としての使命を担っていった。そして、新しき人間主義のパイオニアの重責を果たした新学同は、結成から十余年を経た八〇年代初めに解散している。
 学生部員は、この活動を通して、仏法者の立場から社会の諸問題をいかにとらえ、どう行動していくべきかを、真剣に考え、試行錯誤を重ねていった。
 やがて学会は、青年部による難民救援の運動や反戦出版など、広範な平和運動を展開していくことになるが、その推進力となっていったのは、新学同に携わり、山本伸一の薫陶を受けてきた青年たちであった。いわば、新学同は、学会が、平和・教育・文化の運動を本格的に推進していく先駆的試みとなったのである。
 大聖人は「すべからく一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を祷らん者か」と仰せである。
 自身の幸福を願うならば、まず社会の繁栄と平和を祈るべきであるとの御指南である。
 仏法即社会なるがゆえに、仏法者は、自身の人間革命の光をもって社会を照らし、時代建設の汗を流し続けるのだ。
 わが学会が、その名称に「創価」すなわち「価値の創造」を掲げていること自体、社会への貢献を使命とする宣言といってよい。また、そこに学会が、人類史を画する、人間宗教たるゆえんがある。

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