Nichiren・Ikeda
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53 楽土(53)
山本伸一の沖縄滞在は、三泊四日にすぎなかった。
しかし、その訪問は、沖縄の同志に無限の勇気を与え、楽土建設への、不撓不屈の闘魂を燃え上がらせたのである。
東京に戻ってから八日後の二月二十六日、千代田区の日本武道館で、二月度本部幹部会が開催された。
山本伸一の堂々たる声が響いた。
「学会の国内合計世帯数は、この二月をもちまして、待望の七百万世帯を達成いたしました。大変にご苦労様でございました!」
その瞬間、雷鳴のような大歓声と大拍手が、武道館を揺るがした。
一九六六年(昭和四十一年)十一月に六百万世帯を達成して以来、わずか二年三カ月で百万世帯の拡大である。まさに破竹の勢いで、広宣流布は進み、幸福と歓喜の大波が、日本列島を包もうとしていた。
伸一は言葉をついだ。
「大聖人は、『軍には大将軍を魂とす大将軍をくしぬれば歩兵臆病なり』と仰せであります。この七百万世帯は、皆さんが大将軍となって、勇気をもって戦い抜いた証であります。
大聖人も、また、牧口先生、戸田先生も、この壮挙を喜ばれ、諸手をあげて、ご賞讃くださることは間違いありません。
勇気は、希望を呼び、力をわかせます。勇気こそ、自分の殻を破り、わが境涯を高めゆく原動力であります。
大将軍の皆さん! 遂に、新しき建設の幕は開かれ、創価の勇者の陣列は整いました。新時代が到来しました。わが胸中に、いや増して勇気の太陽を輝かせながら、いよいよ、歴史の大舞台に躍り出ようではありませんか!」
大勝利の獅子吼がこだました。同志の顔に決意が光った。
「未だ広宣流布せざる間は身命を捨て随力弘通を致す可き事」――それが創価の精神である。この広宣流布の拡大のなかにこそ、師弟の直道があり、人類の幸福と平和の、確かなる大道があるのだ。