Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第11巻 「暁光」 暁光

小説「新・人間革命」

前後
49  暁光(49)
 暗転した場内に、赤・黄・青……と、幻想的な光の世界が広がり、「SGI」の文字やブラジル国旗が、次々と浮かび上がる。懐中電灯を使った「電照人文字」である。
 続いて、大文化祭の圧巻・男子部の組み体操となった。人間の橋がつくられ、波がうねり、五段円塔が積み上げられていった。
 二段、三段、四段……。
 スタンドの同志は、手に汗を握り、祈るような気持ちで舞台を見守った。
 揺れる四段の人間円塔の上で、両手に旗を持った青年が立ち上がり、腕を大きく広げた。
 立った! 勝利の金字塔が打ち立てられたのだ!
 場内は、感動と興奮の坩堝となり、生命と生命が、魂と魂が、キラキラと輝きわたる、神々しいほどのフィナーレを迎えた。
 色とりどりの衣装が、舞台を人華の花園に変え、喜びの笑顔が揺れ、どの目にも、真珠の涙が光った。
 山本伸一の胸にも、熱い感動が、溶岩のように噴き上げていた。
 彼は、身を乗り出し、大きく手を振り続けた。
 そして、最大の敬意と称賛を込めて叫んだ。
 「オブリガード(ありがとう)! オブリガード!」
 大歓声(だいかんせい)と、猛然たる豪雨を思わせる大拍手が、ドームを揺り動かした。
 会場には、サンバの調べが響き、メンバーの愛唱歌「サウダソン・ア・センセイ」(ようこそ、先生)の合唱が広がった。
 出演者も、観客も一体になって、誇り高く、晴れやかに、歌い踊った。
  ラ・ラ・ラヤー……
  先生!
  あなたをブラジルに迎えることができ
  私たちの夢は叶いました
  ………… …………
  ありがとう 先生!
  真心の花を捧げます(日本語訳)
 それは、風雪に耐え抜き、自身の極限に挑んできた創価の勇者たちの、強き連帯の熱唱であった。
 そこには、人間正義と究極の平和の、真髄の実像があった。
 勝った! 遂に、遂に、わが同志は勝ったのだ!
 この時、ブラジルのメンバーは、信仰という人間の至上の情熱と、仏法という宇宙の究極の力をもって、暗黒の闇を破り、暁光を迎えたのである。
 そして、太陽が黄金の光を放って、刻々と空高く昇りゆくように、以来、ブラジル創価学会は、二十一世紀の世界広宣流布の先駆として、目を見張るほどの前進を遂げ、燦然と輝きわたっていくのである。

1
49