Nichiren・Ikeda
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第7巻 「文化の華」
文化の華
小説「新・人間革命」
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47 文化の華(47)
ケネディ大統領と山本伸一の会見は、その後、具体的に煮詰まっていった。
会見の日は、ケネディのスケジュールに合わせ、年が明けた二月と決まり、伸一がワシントンを訪問することになった。
伸一は、一月八日から二十七日まで、海外メンバーの指導のため、アメリカ、ヨーロッパなどを歴訪することになっていたので、帰国後、またすぐに渡米することになる。
伸一は、その会見には、将来のために、男女青年部や学生部の幹部の代表も、同席させたいと思った。
また、土産の品にも心を砕き、日本の文化の一つの象徴として、一振りの名刀を贈ることにした。一方、伸一の妻の峯子も大統領夫人へのプレゼントに、真珠のネックレスを用意した。
伸一の、幹部や会員への指導、激励は、連日のように続けられていたが、本部の仕事納めも終わった年の瀬の午後、彼は、久しぶりに神宮の外苑を散策した。
葉の散ったイチョウ並木が、澄んだ空を突き刺すように、枝を広げていた。
この道は、かつて、恩師戸田城聖の葬列が通った、忘れ得ぬ場所であった。
落ち葉を踏んで歩きながら、伸一は、今年も力の限り戦い抜いた、大勝利の一年であったと思った。
戸田の七回忌までの目標であった三百万世帯を、一年数カ月も早く達成し、新たな飛躍の基盤をつくり上げたのである。しかし、彼は、本当の戦いはこれからであると感じていた。
伸一の胸には、新しき年の、成すべき課題が次々と浮かんだ。
″来年は、世界の堅固な礎を築くことから着手しよう。また、絢爛たる人間文化の華を咲かせるために、芸術部や学術部、教育部などの育成にも、一段と力を注ぐ必要がある……。
今年の、五倍、十倍の戦いを展開するのだ。連戦連勝こそが、私に課せられた絶対の責任だ!
もし、広宣流布の戦いに敗れれば、会員が悲しむ。皆が不幸になる。
よく人は、負けた悔しさをバネに、次の勝利を期すと言う。しかし、それは、所詮は敗北を容認する甘えではないか。私には、そんな甘えは許されない!
私は、勝つために悩みに悩み、苦しみに苦しむ。そして、必ず勝って、その大勝利の喜びを源泉として、学会は前進するのだ!″
伸一は、ぎゅっと拳を握り締めた。
北風に、路上の落ち葉が舞い、一羽の鳥がイチョウの枝をかすめるように舞い上がり、太陽の光を浴びて空高く飛翔していった。
彼の顔に微笑が光った。
(この章終わり)