Nichiren・Ikeda
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39 青葉(39)
本部幹部会は、最後に山本伸一の話となった。
彼は、参加者に向かって深く礼をすると、力強く語り始めた。
「本年の目標である二百万世帯が、悠々と半年間で突破できましたことを、まず、皆様方と一緒に喜び合いたいと思います。大変にご苦労様でございました」
参加者は、大拍手をもって、ともどもに二百万世帯達成の快挙を祝った。
「しかし、私は御礼申し上げることはできても、皆様に何も差し上げるものはございません。
どうか、御本尊様から、それぞれ、たくさんの大功徳を頂戴していただきたいと思います」
朗らかな笑いが、会場に広がった。
参加者の誰もが、戦い抜いた歓喜を実感していた。
伸一は、話を続けた。
「学会が大きくなれば、なかには、うまく学会を利用しようという、悪い考えをもって、入会する人も出てくるかもしれません。
しかし、どこまでも創価学会は、信心を根本に、純粋に、日蓮大聖人の御精神を精神として進んでいく団体であります。断じて、そうした行為を許してはならないし、撹乱されてはならない。
したがって、幹部の皆様は、もし、学会を利用しようという不純な動きがあったならば、毅然たる態度で信心指導に臨むとともに、全同志に、清純なる信仰を伝え抜いていただきたいのであります。
仮に、それによって、二百万世帯の同志が、百万になったとしても、清き信心によって結ばれた同志の団結は、十倍、二十倍の発展をもたらす力となります。
私どもは、学会の、この清らかな信仰の純粋性を、永遠に守り抜いてまいろうではありませんか。
では、また、七月度の本部幹部会に、元気はつらつとした姿で、集い合いましょう」
二百万世帯の峰を越えた学会は、勇躍、三百万世帯達成の新たな峰へ、前進を開始したのである。
首脳幹部の多くは、二百万世帯達成の喜びに酔っていた。しかし、伸一は、拡大にともなう、あらゆる問題点を、ただ一人、冷静に見すえていた。会長である彼の双肩にかかる社会的な責任も、ますます重さを増しつつあった。
広宣流布の道は、間断なき闘争である。巧妙な弾圧の策謀も、撹乱もあるに違いない。その道を踏破できるのは、怒涛も、嵐も恐れぬ真正の勇者である。
伸一は、この二百万世帯の同志を、一人も落とすことなく、いかに幸福の彼岸に運ぶかを考えると、強い緊張を覚えるのであった。