Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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仏縁の拡大 (第27回)

2009.9.24 「御書と師弟」

前後
1  御聖訓「其の国の仏法は貴辺にまかせたてまつり候ぞ、仏種は縁に従つて起る是の故に一乗を説くなるべし
2  広宣流布は、どこから始まるか。それは「地域」です。
 わが地域を発展させたい。わが地域から人材を出したい──この切実な祈りと行動から、最も確かな広布の波が広がる。
 戸田先生は語られました。
 「大事なのは足元だよ。何があっても浮き足だつのではなく、妙法の旗を掲げて、現実の大地にしっかりと立つことだ」
 今回、拝するのは、「地域」に住む一人から広宣流布が始まることを日蓮大聖人が教えられた御聖訓です。
 「其の国の仏法は貴辺にまかせたてまつり候ぞ、仏種は縁に従つて起る是の故に一乗を説くなるべし」──その国の仏法流布は、あなたにおまかせします。仏種は縁によって起こるものです。このゆえに一仏乗の法華経を説くのです──。
 まことに有名な御金言です。高橋六郎兵衛入道にあてた御手紙とされてきましたが、異説もあります。建治年間から弘安年間のころ、駿河国(現在の静岡県中央部)の富士地方で、中心的な立場で弘教に励んでいた在家に送られた御文とも推定されます。
 当時、富士地方では日興上人を中心とした折伏戦が力強く進んでおりました。その旭日の勢いに恐れをなした権力者らが卑劣な迫害を加え、弘安2年(1279年)には「熱原の法難」が最も熾烈になっていたのです。この御書は、弾圧が激しさを増していた渦中に送られたと拝察されます。
 ここで仰せの「国」とは、門下の住む地域一帯のことです。「その国土の仏法は、あなたにおまかせします」──あまりにも重大な仏の信託であります。「頼むよ」と師の信頼の一言に、弟子は武者震いする思いで、勇み立ち上がったことでしょう。
 これが師弟の深遠じんのんなる生命の呼吸です。増上慢の坊主ではない。民衆のリーダーです。師の心を心として、自らの使命を自覚した勇気ある弟子こそ、地域広布の指導者なのです。
  この御文の前には、苦難の中で勇敢に師弟の道を歩み抜く信心を讃えられ、「釈迦仏・地涌の菩薩が、あなたの御身に入り替わられているのでしょうか」(御書1467㌻、通解)と仰せです。
 釈迦仏・地涌の菩薩といっても、どこか遠くにいるのではない。いざという時に勇猛精進しゆく、わが生命にこそ、生き生きと躍動しているのです。
 法華経の勧持品第13には──
 「我れは是れ世尊の使なり 衆に処するに畏るる所無し」(420㌻)と説かれております。
 仏の使いとして広宣流布に戦う自分である。ゆえに、誰人に対しても臆することはない。堂々と妙法を説き弘めていけるのだという誇り高き宣言であります。師弟の道に生きゆく人生に畏れなし。正義は徹して強気でいくのです。
 法華経では、地涌の菩薩は、「娑婆世界の三千大千の国土」に涌出したと説かれます。
 娑婆世界とは、苦悩が渦巻く人間世界のことです。この現実の社会を離れて、仏法はない。
 地涌の菩薩は、必ず使命の国土・地域に躍り出るのです。
3  仏勅の同志に感謝
 この法華経の正しき方軌に則って、創価の師弟は、大聖人と釈尊の遺命である広宣流布を、地域に世界に遂行してきました。
 全国の本部で、支部で、地区で、そしてブロックで、友のため、地域のために献身を重ねる、わが創価の同志こそ、御本仏・日蓮大聖人から「其の国の仏法は貴辺にまかせたてまつり候ぞ」と正義の興隆を託された仏勅の闘士なのであります。
 これほどの名誉ある人生は絶対にありません。皆様方は、どんな権力者や大富豪も及ばない「使命即栄光」「責任即福徳」の大道を歩んでおられるのです。
 友の健康と幸福を祈る。悩んでいる方がいれば飛んで行って励ます。活動の一切を担い戦う。自分のことはさておいても、愛する天地のために奔走する。
 その地その地に根を張って、広宣流布のために苦労して戦う人こそが、一番、偉大なのです。地域を離れ、責任を持たない。自分はやらずに、人にやらせる。それは、仏法の精神に反します。
 わが地域の一世帯を、どう励ますか。新たな一人を、どう広げるか。それが根本です。
 本部長、支部長・支部婦人部長、地区部長・地区婦人部長、ブロック長・白ゆり長をはじめ、師弟の大精神に燃えて進まれる全国の尊貴な同志の皆様方に、私も妻も最敬礼して、朝な夕な真剣に題目を送っております。
 とくに、どんな時も太陽の如き笑顔で、地域を照らしてくださる婦人部の皆様の健康長寿と幸福勝利こそ、私たち夫婦の最大の願いです。
 また太陽会をはじめ、地域で”おじさん”と、皆から慕われる壮年部の方々こそ尊いのです。
 続く「仏種は縁に従って起る」との仰せは、地域広布を進める上での甚深の御指南です。
 相手の方が「一生成仏」という永遠の幸福を勝ち取る道も、まず私たちが「仏種」を植える対話から始まります。それこそが、仏の誓願を果たす具体的な行動なのです。広宣流布の大使が真剣に誠実に行動した分だけ、妙法への縁が広がる。皆さん方が仏縁を結ばなければ、何も始まりません。
 人の心は、縁によって瞬間瞬間に変わる。御書には「一人一日の中に八億四千念あり」とも説かれています。
 悪縁にふれれば、醜い命が出てくる。善縁に出あえば、素晴らしい生命が現れるのです。
4  結んだ縁は永遠に
 大事なのは、私たち自身が、相手の仏の生命を呼び起こし、薫発しゆく強い「縁」となっていくことです。その「仏事」(仏の仕事)を為すのが「声」です。
 「おはようございます!」
 毎朝、「無冠の友」の方々が、聖教新聞を配達してくださりながら、行き交う方々にかける挨拶は、なんと清々しく喜びの波紋を、わが街に広げゆくことか。
 「お元気ですか!」「一緒に成長しましょう!」──祈りと確信を込めた私たちの「仏の声」「仏界の響き」が、大勢の人々と縁を結び、広げていくのです。
 その振る舞いは必ず「仏縁」となる。その時は、かりに反発したとしても、相手の生命の奥深くに「仏種」として刻まれる。冬を越えて春が来るように、時とともに、「自他共の幸福」の大花と咲き薫ることは必然です。
 「法華経を耳にふれぬれば是を種として必ず仏になるなり」と御断言の通りです。
 ゆえに、まず自分が強くあれ!
 相手がどうあれ、自らが「縁」となって、その生命を幸福の方向へ力強く変えていくのです。これが仏の強さである。相手の弱い命や愚癡の命に引きずられるのではない。こちらが、毅然と引っ張っていくのです。
 戸田先生は「広宣流布のために会い、勇敢に、誠実に仏縁を結んだ人は、未来において、その人が必ず自分の眷属となって、自分を護り支えてくれるようになるのだ」とも語られました。
 仏法の縁は、三世永遠です。「是の故に一乗を説くなるべし」と御聖訓には仰せです。
 仏は「説くべき時」が来たならば、敢然と方便の教えを捨て、一仏乗の成仏の教えを説かれました。その仏の命を受けた私たちも、遠慮や逡巡はいりません。誰人にも具わる仏の大生命を開く、これ以上ない尊極の道を、自信満々に語り広げるのです。
 私は若き日から、この御書を拝し、自らの担当する地域を、大聖人から直々にまかせて頂いた使命の国土と受け止めてきました。そう思えば、力が出ないわけがありません。
 大森地区の地区委員として、蒲田支部の支部幹事として、青年部の第一部隊の部隊長として、文京支部の支部長代理として、さらに葛飾区の総ブロック長として、全責任を担い立ちました。
 さらに、北海道・札幌の夏季地方折伏にも、大阪の戦いにも、そして山口の開拓闘争にも、師子奮迅の力で臨みました。
 広宣流布の師匠である牧口先生、戸田先生に直結して、わが宿縁の天地で広宣流布の未曾有の拡大を成し遂げてみせると心を定めて、祈りに祈り、動きに動き、語りに語ったのです。
 一切の根本は、御本尊への真剣な祈りにある。御本尊は、勝つためにあられる。これが私の大確信でありました。
 すべて「地域革命」であり、「立正安国」の大闘争です。
 人に頼ることはできない。自分が責任をもち、執念をもって、粘り強く戦う以外にありません。
 「自分の法戦場で断じて勝ってみせる!」と題目を唱え、悩み、苦しみながら、一人また一人と対話を積み重ねていく。この人こそが、広布の英雄です。その祈りに、諸天善神も仏菩薩も、必ず応えて、働き出すのです。わが地域の広宣流布を避けて、世界広宣流布はあり得ません。
 邪智謗法の日本という国で、恐れなく不惜身命・死身弘法を貫き通してきたからこそ、一閻浮提広布の道も開かれたのです。
 恩師の遺影を抱きしめて、私は昭和35年(1960年)の10月2日、世界広布に旅立ちました。明年で50年になります。
 昭和50年(1975年)の1月26日、SGIの発足にあたり、私はグアムの地に集った各国の代表に申し上げました。
 「皆さん方は、どうか、自分自身が花を咲かせようという気持ちでなくして、全世界に妙法という平和の種を蒔いて、その尊い一生を終わってください。私もそうします!」
 これが広宣流布の先駆者の心意気です。私と共に、この心で生き抜いた先覚者がおられればこそ、今日、創価学会は世界192力国・地域に広がる民衆の大連帯となったのです。
 経文通りの悪口罵詈、猶多怨嫉の難にも、妙法流布の情熱と誇りに燃える先達たちは負けなかった。いかなる障害にあおうと、「いまだこりず候」との師子吼を、わが胸に滾らせ、岩盤に爪を立てる思いで信頼を勝ち広げてきたのです。
 断じて妙法を弘めてみせる!
 この責任感こそ、「貴辺にまかせ」の御金言を身で拝する法華経の行者の証しであります。
 今や、妙法の仏縁は地球上に広がり、人類史に例のない仏法共感の大潮流となりました。その先頭を行くのが皆様方なのです。
 私は国内外のどこへ行く時も、題目を大地に染み込ませる思いで唱題を重ねてきました。
 強い一念の唱題は、国土の隅々にまで波動を広げます。
 友情を広げる一歩一歩が仏縁の拡大です。苦労した分、悩んだ分だけ、喜びも功徳も大きい。その福運は、一家一族が未来永遠に勝ち栄えていく源泉となります。
 さあ、気高き地涌の友よ!
 今再び、光り輝く生命で、地域に生き生きと飛び出していこう!
 創立80周年へ、創価の大使となって、新たな仏縁を結ぶ「対話の風」を、楽しく朗らかに広げゆこうではありませんか!
   君もまた
    元初の同志の
     創価かな
    その地その国
      勝利の旗持て

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