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池田SGI会長にインタビュー 国際通信社IPSとIDN

2010.6.23 スピーチ(聖教新聞2010年上)

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1  「核なき世界」を民衆の力で
 池田SGI(創価学会インタナショナル)会長の核問題に関するインタビュー記事が、国際通信社IPS(インタープレスサービス)と、その提携メディアで国際ニュース分析で定評のあるIDN(インデプスニュース)のウェブサイトに掲載された。これは、5月にニューヨークの国連本部で行われたNPT(核拡散防止条約)再検討会議を踏まえ、核兵器廃絶に向けた今後の課題や市民社会の役割について、両メディアから寄せられた質問に答えたもの。記事は世界に配信され、包括的核実験禁止条約機関準備委員会の「日刊ニュース紹介」のコーナーや、アメリカ、オーストラリア、インドなど各国の主要紙のウェブサイトでも取り上げられた。ここで、IDNに英文で掲載されたインタビュー記事を2回に分けて紹介する。
2  最終文書を礎に着実な前進を!
 ──5月28日に閉幕したNPT再検討会議の結果について、どのようにお考えになりますか。核兵器の廃絶に向けて世界が前進するための道を、本当に開いたと言えるでしょうか。それとも、何人かの専門家が主張するように、空疎な約束と決まり文句の羅列にすぎないのでしょうか。
 池田SGI会長 今回の会議の成果について、さまざまな評価があることは承知しております。
 残念ながら、核保有国と非保有国との意見の対立は容易に解消されず、当初の議長報告案で示されていた核軍縮の交渉期限の設定が見送られるなど、多くの課題が残されたことも事実です。
 しかし、決裂に終わった前回(2005年)の再検討会議のような轍を踏むことなく、具体的な行動計画を含んだ最終文書を採択することができた。
 その背景には、各国の立場や主張の隔たりはあったとしても、「核兵器のない世界」に向けての新たな取り組みの機会を無にしてはならないとの認識が広がりをみせていたことがあると思えてなりません。
 私が座右としてきた東洋の箴言に「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」(魯迅「故郷」竹内好訳、『阿Q正伝・狂人日記』所収)という言葉があります。
 すべては、今回の最終文書を“協働作業の足場”とし、各国が力を合わせて道なき道を一歩ずつ踏み固めていけるかどうかにかかっています。
 と同時に、合意の遅滞なき履行を求める国際世論を高めていくことが欠かせません。
 その意味でも、各国の政策決定者と市民社会の建設的な対話の場を確保していくことが、重要な鍵となるでしょう。
3  ──特筆すべき成果をあげるとすれば?
 SGl会長 会議の成果として、私が特に注目したのは、次の3点です。
 すなわち、全会一致で採択された最終文書において、①「核兵器のない世界」の実現と維持のための枠組みを創設する特別な努力が必要とした上で、核兵器禁止条約に初めて言及したこと②核兵器の脅威に対する絶対的な保証は、その廃絶以外にないと確認したこと③核兵器の使用がもたらす壊滅的な結果を踏まえて、各国に国際人道法の遵守を求めたこと──です。
 なかでも核兵器の全面的禁止を求める核兵器禁止条約は、その重要性が非保有国やNGO(非政府組織)の間で叫ばれ続けながらも、時期尚早であるとか、国際社会の現実にそぐわないといった主張が根強く、これまで核問題に関する国際交渉の場では、議題として正面から取り上げられることのなかったものでした。
 それがついに今回、最終文書での言及という形で実現をみたのです。これはまさに、NPT再検討会議議長や、軍縮室など国連関係者の努力をはじめ、核廃絶を求める国々と市民社会の熱意と声が一体となる中で可能になったものといってよいでしょう。
 私ども創価学会の青年部も、今回の会議に寄せる形で、核兵器禁止条約の制定を求める227万人に及ぶ青年世代の署名を日本で集め、国連事務総長とNPT再検討会議議長に提出しました。

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