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戸田第二代会長生誕110周年 記念提言… 核兵器廃絶へ 民衆の大連帯を

2009.9.8 スピーチ(聖教新聞2009年下)

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1  明年の戸田第二代会長生誕110周年の開幕を記念し、池田SGI(創価学会インタナショナル)会長は、戸田会長が「原水爆禁止宣言」を発表したきょう9月8日に寄せて、「核兵器廃絶へ民衆の大連帯を」と題する提言を発表した。提言ではまず、世界で核拡散の脅威が高まる中、アメリカのオバマ大統領が「核兵器のない世界」への決意を表明するなど、変化の兆しが見られることに言及。この動きを確かな潮流へと高めるためには、歴史家のトインビー博士が促していたように、各国が自らの意志で必要な変革に踏み出せるよう、歴史の教訓を真摯に学ぶ必要があると強調。その上で、戸田会長の「原水爆禁止宣言」の現代的意義として、「政治指導者の意識変革」「核兵器禁止の明確なビジョン」「人間の安全保障のグローバルな確立」の3点を挙げ、人類の生存権を守る立場から核兵器を絶対悪と位置付けた先見性について論じている。
2  続いて、「核兵器のない世界」の実現に向け、①核軍縮②市民社会との協働体制③核拡散防止④「核兵器に依存しない安全保障」への移行⑤核兵器の禁止、の5項目にわたる提案を。核兵器ゼロに向けた保有国による軍縮促進のための措置をはじめ、国連に「核廃絶のための有識者パネル」を創設し、核拡散防止条約に「常設作業部会」を設置するプランを提唱。民衆のグローバルな連帯の力で「核兵器禁止条約」の基礎となる国際規範を確立することを呼びかけている。
 世界を分断し、破壊する象徴が核兵器であるならば、それに打ち勝つものは、希望を歴史創造の力へと鍛え上げる民衆の連帯しかない──。
3  20世紀を代表する科学者であるアインシュタイン博士が、生涯で唯一の過ちと悔いていたものがありました。
 アメリカにナチスの原爆開発の危険性を伝え、早急な対応を求める手紙に署名し、ルーズベルト大統領に送ったことです。
 「戦争の理由が何であれ、私は戦争への奉仕は直接的なものも間接的なものも絶対に拒否する」(アリス・カラプリス編 『アインシュタインは語る』林一・林大訳、大月書店)と宣言していた博士が、知人の科学者の要請があったとはいえ、なぜこのような決断を下したのか。
 原爆の破壊力を誰よりも察知できたがゆえに、ナチスが先に手にした場合の世界の行く末に、底知れぬ恐れを抱いたためと言われています。
 年来の主義に反して署名した博士の思いは、軍事の論理の中で置き去りにされていった。しかも、ナチスの敗戦で核開発の意味は失われたと安堵した矢先、原爆が広島と長崎に投下された──。言語に絶する衝撃を受け、亡くなるまでの10年間、核兵器の廃絶を世界に訴え続けたことは、あまりにも有名です。
 「最初の原子爆弾が完成して以来、世界を戦争から守るためには、何事も完成されておりません。ところが一方では戦争の破壊力を増すために多くのことがなされてきました」(『晩年に想う』中村誠太郎・南部陽一郎・市井三郎訳、講談社)
 この言葉をアインシュタイン博士が述べたのは、1947年でした。その前年に、国連で論議された原子力の国際管理構想(=注1=)が挫折し、ソ連やイギリスが核兵器開発に乗り出す中で、憤りを込めて同じ文章の中で、その警告を3度繰り返したのです。
 この47年は、私が師の戸田城聖第二代会長に初めて出会った年でもありました。
 師は、軍国主義に抗して、2年に及ぶ獄中闘争を貫き、戦後は平和を求める民衆運動の先頭に立ちました。
 そして、ソ連がアメリカを後追いして核実験に成功し、その事実を認めた直後(49年10月)に、「原子爆弾による戦争が起こったならば、世界の民族は崩壊の道をたどる以外にない」(『戸田城聖全集第3巻』)と警告していたのです。

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