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日蓮大聖人・池田大作

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北京大学図書贈呈式でのあいさつ  

1974.12.3 「池田大作講演集」第7巻

前後
1  人類の未来を担う中国、その中国の未来を担う英知の殿堂である北京大学に、書籍を贈呈したいとのささやかな私の好意を快く受け入れていただき、かくも真心こもる贈呈式まで設けてお招きいただいたことに、おおいなる感激をおぼえるものであります。
 これらの書籍は決して豪華な本ではありませんし、冊数もわずかでありますが、日中両人民の友好平和を願う一市民としての、私の真心をこめたつもりであります。どうか末永くぞんぶんにこの書籍を使っていただいて、学生の皆さんのお役に立つとともに、中国と日本と平和友好の絆の一つともなれば、これにまさる喜びはありません。
 私は、ヨーロッパ、アメリカ等、各国を訪問しましたが、いずれの国においても、もっとも関心をよせ、真剣に取り組んだのは、その国の教育施設の見学であり、教育者や学生との対話であります。それは、人類にとって、未来を決定する鍵を“教育”がもっていると信ずるからであります。
 毛首席はかつて青年について次のようにいわれている。
 「世界は君たちのものであり、また私たちのものであるが、やはり結局のところは君たちのものである。君たち青年は、生気はつらつとして、ちょうど午前八時か九時ごろの太陽のように、上り坂である。希望は君たちの上に託されている。……世界は君たちのものである。中国の前途は君たちのものである」
 この言葉は、私の胸中の“信念の琴線”に力強く響いています。なぜなら、私は日本の最大の青年団体の責任者とし、彼ら青年たち、つまり二十一世紀に入って最初に人類の一切の文化を担う立場になるであろう人々には、必ず人類平和の未踏峰のいただきに立ってもらいたい、それ以外にあすの人類の生存はありえない――との信念のもとに、そのための道を切り開く作業に、私なりに日々全魂をかたむけて戦ってきたからです。
 未来は青年のものであり、民衆を圧迫し、そのうえに君臨するいかなる傲慢な勢力も若い世代の正義感、革新のエネルギーのまえには圧倒され、歴史の舞台から消え去っていく。人民大衆こそ歴史創造の原動力であり、民衆を抑圧する勢力は、それがいかに外形的に強固に見えても、もろくはかないものであり、怒濤のような歴史の潮流に押し流されていくでありましょう。そしてこの青年の正しい生き方、創造の力を開くものこそ教育であります。
 私はかつて日中の国交正常化が実現する四年前に、日本の学生たちに国交正常化と日中の平和友好を強く訴えたことがあります。中国とはどんなことがあっても友好を堅持しなければならない、二度とあの悲惨な戦争を繰り返してはならない――これは戦争によって肉親を失い、苦しんできた私の若い時代からの信念でありました。
 私は数万の学生の会合の席上、彼らにこう訴えました。
 「やがて諸君たちが社会の中核となったときには、日本の青年も、中国の青年もともに手を取り合い、明るい世界の建設に笑みを交わしながら働いていけるようでなくてはならない。この日本、中国を軸として、アジアのあらゆる民衆が互いに助け合い、守り合っていくようになったときこそ、今日アジアをおおう戦争の残虐と貧困の暗雲が吹き払われ、希望と幸せの陽光が、さんさんとふりそそぐ時代である」
 私はこの信念のもとに中国を訪れました。また私が贈本させていただいたのも、この信念から教育交流をとおし相互理解を深め、力を合わせて輝かしい未来へ進んでいきたいと念願するからにほかなりません。
 最後に日中両国の明るい未来のために、アジアの平和、人類の繁栄のために、皆さんとさらにさらに力強く手をたずさえて前進していくことを固く約束し、私のあいさつとさせていただきます。

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