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日蓮大聖人・池田大作

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IBL第1回世界平和会議 中道哲学こそ平和の基調

1975.1.26 「池田大作講演集」第7巻

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1  皆さん、本日はご苦労さまでした。
 まず初めに第一回世界平和会議に、もったいなくも日達上人猊下のご臨席を賜ったことは、この会議に意義深い光彩を放つものでこざいます。まことにありがとうございました。(拍手)第三祖日目上人もさぞや心からお喜びのことと思います。
 また本会議の開催を、グアムの知事をはじめ島民の方々が、あたたかく迎えてくださったことに対し、厚く感謝申し上げます。とともに五十一か国の代表メンバーである同志の皆さんが、この会場に集って平和を希求するということは、これ以上の喜びもございません。皆さんのご苦労を心から御礼申し上げ、祝福いたします。
 ある面からみれば、この会議は、小さな会議であるかもしれない。また各国の名もない代表の集まりかもしれません。しかし幾百年後には、今日のこの会合が歴史に燦然と輝き、皆さんの名前も人類史はもちろん、仏法広宣流布の歴史にも、厳然と刻まれゆくことを、私は信じます。(大拍手)
 現在、世界は軍事、政治、経済という力の論理、ならびに利害の論理のうえに立って、平和が阻害それ、つねに緊張状態にある。この悪循環こそ世界の実態であります。
 こうした平和阻害の状況を打破していくものは何か。結論していうならば、これは高等宗教であることは論をまちません。その高等宗教とは観念論に終始するものではなく、現実にこのように平和への千里の道を切り開いていく高等宗教であります。
 御書に「SA358E」との有名な一節がある。この一節はさまざまに論じられていますが、大きく開いた次元で論ずるならば、異体同心とは各国の民衆と民衆が妙法を根本にして団結して、助け合って進んだときにこそ、必ず永遠の平和は達成されるという意義であると、私はとりたい。(拍手)
 確かに政治、経済等も現実問題として重要である。しかし生命の本源を解明した仏法を基に、各国の民衆と民衆が異体同心で進まなければ平和はありえない、ということこそ、大聖人の仏法の真髄であると申し上げたい。
 歴史哲学者トインビー博士は、戦争の歴史といってよいこの世界を、どのようにして“世界国家”としていくか、世界連邦という理想世界を成就するにはどうすべきか、こう論じています。この方途として博士は高等宗教の役割を論じつつ、世界国家、世界連邦がまずできて、その段階で世界宗教が広まり、やがて理想的な社会が達成されるであろうと述べていました。
 私は、トインビー博士と十日間対談をしました。対談のおり、私は僣越にもこの点に関してだけは“ノー”と自説を主張しました。世界宗教が広まった後に、世界国家、世界連邦という人類の理想が達成できないのではないか、と主張したのであります。
 博士は偉大な学者であり、また謙虚な学者であります。対談を終えて博士は新たな思索を加え、確かに世界宗教が流布して世界連邦の精神基盤ができ、そのときに理想の世界国家ができるであろうとして、長いあいだの学説をこうした方向に自ら変更されたのです。
 最後の対談の日に、私ども日蓮正宗創価学会に対して、なにかご意見はないでしょうか、とたずねた。博士は大きく手を握って「なにもない」と答えました。博士は、私は学者であり、実践家ではない、というのです。日蓮正宗創価学会は、幾多の批判をうけながらも、堅実に世界の恒久平和のために敢然と戦っております。博士はこの事実から、仏法の中道哲学の道を、どうか勇気をもって、世界の人々のために進んでください、といわれました。
 先日、国連のワルトハイム総長と会談しました。総長は人類の平和のために非常に真剣であり、かつそれだけに悩んでおられるようでした。会談の最後に、総長から、激励の意味からもしれませんが、あなた方の理念をよく知り検討し、平和の実質的機構としての国連の運営に繁栄させていきたい、という話がありました。私どもはこれにこたえなければならない。
 ともかく地平線の彼方に、大聖人の仏法が昇り始めました。皆さん方はどうか、自分自身が花を咲かせようという気持ちでなくして、全世界に平和という妙法の種をまいて、その尊い一生を終ってください。私もそうします。(大拍手)
 あるときは同志の諸君の先頭にも立ち、あるときは側面から、あるときは裏で見守りながら、全魂こめ応援していくでありましょう。どうか勇気ある大聖人の弟子として、また慈悲ある大聖人の弟子として、また正義に燃えた情熱の大聖人の弟子として、その国のために、また尊き人間のために、民衆のために、この一生を晴ばれと送っててください。(大拍手)

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