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日蓮大聖人・池田大作

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無生山法忍寺落慶入仏法要 化他の修行こそ大乗の精神

1974.7.17 「池田大作講演集」第7巻

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1  ひとことお祝いのごあいさつをさせていただきます。本日は、ここ八王子にかくも立派な明るい新寺院ができまして、まことにおめでとうございます。御法主上人猊下に対したてまつり、心からお喜び申し上げます。おめでとうごさいます。
 どうか、ご住職におかれましては、当寺所属となる学会員と一日も早く旧知の間柄となられ、心おきなくなんでも相談しあって、立派に当寺院の発展の実をあげてくださいますよう、心からお願い申し上げます。
 また、所属する学会の皆さまといたしましては、ご住職がなんの後顧の憂いもなく、立派に当寺院の歴史を築いていかれるよう、十分に外護の任を果してください。ともかく、私どもがお迎えしたご僧侶を大切にしていただきたい。この点、くれぐれもよろしく申し上げておきます。
 ただいま落成慶讃の式にあたり、謹んで大御本尊に読経・唱題申し上げたのでありますが、この妙法七字の題目について、宗祖大聖人は次のように教示しておられます。
 「SA334E……SB078E……SB079E」と。
 俗にも「名は体をあらわす」と申しておりますが、実に妙法七字の題目は、いまの御書のごとくに、宇宙万象の法体そのものでありますから、わずか七文字といえども、実に偉大であります。
 この七字の法体を師範として、私ども凡夫が人間革命を成就していくさまを、日寛上人は鋳型と、それによって抽出されてくる金物の関係を例として、次のように教えられております。
 すなわち「寿量品談義」において「いかたの金を鋳て器を成ずるが如し。……我等は事の一念三千の南無妙法蓮華経を以て、本尊境妙師範として南無妙法蓮華経と唱る故に、いかたも南無妙法蓮華経なれば器も南無妙法蓮華経と顕れ、本門寿量の当体の南無妙法蓮華仏とならん事疑ひ無し」と示しておられます。
 御法主上人の御前において、法門のことを申し上げますことは、はなはだ汗顔のいたりでありますが、僣越の段はご寛容いただくといたしまして、要は私の申し上げたいことは、以上の教えをいよいよこの生命に体しまして、八王子の皆さま方が、この新たに出現した法城を中心として、この地に唱題の渦を巻き起こし、あっというまに過ぎ去ってしまうであろう大切なこの人生を、いちだんと力強く地域の開発、地域の広布に励んでいただきたいという点であります。
 すなわち、お寺ができたということが、単なる一時の感激、一時の喜びであってはならないのであります。いままでよりも活動がしやすくなった、便利になったといっても、馴れてしまえば、今度は“それが当然”といった気持ちになりがちなものであります。そうであってはなりません。良くなったら、いよいよ励むというのが本因妙の信心の姿勢である、と私は思うのであります。
 最近の世相をみておりますと、このごろの天候と同様、ずいぶんと荒れ模様のようであります。政治は政治ですっかり箍がゆるんでガタガタしておりますし、このありさまでは今年後半の経済面も、まだまだ一荒れも、二荒れもするのではないかとも思われてなりません。こういうときには、とかく難が多いものでありまして、皆さまの家庭においても、なかなか容易ではないことでありましょうし、学会としても、また宗門におかれましても、いろいろ困難があろうかと思います。しかし、また難が多いときほど奮い立っていくのが、信心の本道であります。私どもは、そのつもりで宗門をお護りし、この新しい寺院を護ってまいりたいと思います。
 宗祖大聖人はそういう多難な状況のときに、曾谷入道殿へ次のようなお手紙を賜わっておられます。「SA335E」とのご教示であります。
 私どもは、暴君と策士の多いこの世にあって、心をしっかりとこの教えのうえにおき、そのうえで自己の人間革命と社会変革へとますます励んでまいりたいと思うのであります。
 ともあれ、私どもは“地涌の子”であり“大乗の子”であります。“大乗の子”らしく雄々しく、進んでいっていただきたい。いわゆる“小乗”はただ自分だけの悟りをめざして他を顧みませんが“大乗”はこれと抜本的に異なるのであります。つまり“化他”ということに、おおいなる力点をおくのであります。自分だけの悟りというのではなくして「他人の悟りなくして、自分の悟りもない」という自覚のうえに立つものであります。
 そのことを端的にあらわしているのが“四弘誓願”の「衆生無辺誓願度」という願いであります。
 それは、すべての衆生を悟りに向かわせようと努め、大悲によって社会活動を遂行する。場合によっては自分の悟りを後回しにしてまで、ひたすらに他のために力を尽くすというのが、大乗の心構えであります。大乗の中心たる“永遠の仏”のなかには、釈尊等の三世の諸仏ばかりか一切衆生もそのなかに包括されているのである、という確たる自覚があり、この立場が前述のごとき化他の態度に向かわせるわけであります。
 この立場は、理論のうえでは十界互具、一念三千と示され、事法のうえでは妙法七字を中心とした大御本尊の相貌として、私どもに与えられているところであります。ですから、この大御本尊を護持する“大乗の子”には、化他の修行に励むという一点以上に大事なことはありません。
 現にいま、小説「人間革命」が伝えつつある、かの小論法でも、無名の庶民たる婦人たちの化他の活動から事起こったものでありました。この化他の精神こそが名誉ある学会の伝統でありますから、皆さまは社会条件の悪い時勢にこそ、ますますこの崇高なる精神を発揮して、ありとあらゆる難を乗り越えていき、この新寺院の隆昌も勝ちとっていただきたいのであります。(大拍手)
 本日は、この喜びの席をお借りして、多少むずかしい話になってしまいましたが、あくまでも信心という原典に強く立って、いずこにあっても悠々と、明るく振る舞って、すばらしい第二期の八王子の発展をなしていただきたいと、お願いするしだいであります。どうか、地元の皆さま方へもよろしくお伝えください。(大拍手)

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