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日蓮大聖人・池田大作

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妙本寺客殿修復落慶大法要 異体同心のきずな強く

1973.10.28 「池田大作講演集」第6巻

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1  ひとこと、ごあいさつをさせていただきます。本日は、御法主日達上人猊下ご親教のもと房州名刹・本山妙本寺の客殿修復落慶大法要、まことにおめでとうございます。(拍手)御法主上人に対しまして、心からお喜び申し上げます。また住職・鎌倉日櫻尊能師に、当山いよいよご繁栄の段、衷心よりお祝い申し上げます。
 ここ妙本寺は、はるか建武の昔、足和尊氏のころ、宰相阿闍梨日郷上人の手によって開創された寺院であります。そこで、この席をお借りしまして、いささか日郷上人の人となり、および開創当時の模様を振り返ってみたく、以下、堀日亨上人のご研究を拝借して申し上げさせていただきます。
 日鄕上人は越後国蒲原郡に生まれ、姓を太田氏といい、出羽山形の立石寺の、学里ちごとして成長なされました。たまたま郷里に帰ったときに、金津村の富士門徒・孫太郎という人に導かれて発心し、この人の手引きで総本山大石寺塔中日世の門に入り、更に日目上人の弟子に進まれました。そして重須談所にも勉学にまいり、御開山日興上人にも従って行学を励んでいかれたのであります。学進み行成ってからは、ことに宗門発祥たるここ房州方面に折伏化導の芳蹟を残されたとのことであります。師の日目上人の晩年には、特に信用されて、総本山の蓮蔵坊で常随給仕申し上げたのであります。
 そして元弘三年(一三三三年)の天奏ては、京都への案内の法兄日尊とともにおともして西上されたが、途中、日目上人の美濃の垂井での御遷化の不幸にあって、御遺骨を奉じて富士へ帰り、下之坊に納められました。その法労をねぎらわれて、開山日興上人より、日目上人に賞与せられた、「最前上奏之仁」と脇書のある大御本尊を日道上人より賜っております。
 その後、しばしば京師に公武の上奏を企てられましたが、富士では門下に恵まれず、ついに東坊地争議の後、蓮蔵坊を退出して旧縁の地である安房に法幢をたてて、ここ吉浜の地に妙本寺の前身である法華堂を開創したのが、建武二年(一三三五年)前後のときであったそうであります。
 以来、富士、保田両山はなんとなく疎遠なまま永い歴史を経たわけでありますが、両者とも、決してそれが本意ではなかったのであります。以上の史実を振り返って思いますことは、たとえ正法の世界であっても、小さな油断、小さな行き違いがあれば、そこに魔がつけ込み、やがてはきわめて大きな断絶へと拡大してしまうという一事であります。
 しかし、幸いにも、さる昭和三十二年、立派に日興、日目両上人の昔に立ち返ることが成就いたしまして、今日の繁栄の喜びをみることができました。もともとの本来の姿にかえるといえばひとことですんでしまいますが、現実の仕事としては、いろいろな関係上、それは実に容易ならない大業であったわけであります。
 しかし、先住の富士日照尊能師、当住の鎌倉日櫻尊能師、そして日向本山定善寺の当住の小原日悦尊能師、この三方が決然として不退の信心をもって立ち上がられ、絶大な障害と戦い、克服して、初志を貫徹されたからこそ今日があるのであります。
 私はこの慶祝の席上、あらためて敬意を表するしだいであります。この点、宗門におかれましても、一段とご理解と支えのほどを、この席をお借りいたしましてお願い申し上げるものであります。
 御書にも「SA277E……」とございますが、宗祖、御開山の深き源を仰いで揺るぎない富士一門は、今後ますます広宣流布へと前進の力が倍増してまいることを、私は固く信じてやまないしだいであります。
 「身延相承書」「池上相承書」「日興遺誡置文」等を拝しますれば、我ら門葉の徒の進むべき道はまことに明らかなのであります。それは宗祖出世の本懐たる一閻浮提総与の大御本尊を厳護申し上げ、血脈相承のご指南のままに戒壇の大御本尊を世界に流布していく、この一事のみであります。我らの信心もまたそれ以外にまったくありえないのであります。きようお集まりの皆さんは、どうかこの一点に心を深くして地域の広布にあたっていただきたいし、また、いままでよりも一層心を込めて、この妙本寺の外護に励んでいただきたいことを、衷心よりお願い申し上げます。
 現在は創価学会全体としてみれば、大きく世界広布の機運を巻き起こしております。そして、そのもっとも大切な具体的活動としては、地域の建設に力を注いでおります。このどちらにせよ、成否は異体同心の四字にかかっており、これ以外には絶対にありません。
 「SA278E」とございます。この御金言のままに、どうか皆さんは宗門発祥の房州の広宣流布に、今後、ぞんぶんに活躍して大功徳をうけていってください。
 本日は宗勢発展のシンボルとして、当山には立派な客殿ができましたことを心からお祝い申し上げ、ともにご出席の皆さん方のご多幸をお祈り申し上げまして、あいさつとさせていただきます(大拍手)

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