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日蓮大聖人・池田大作

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人類史に光を放つその普遍性の意味  

「21世紀の人権を語る」A.デ・アタイデ(池田大作全集第104巻)

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1  池田 「世界人権宣言」のタイトル原文(The*Universal*Declaration*of*Human*Rights)をそのまま訳しますと「人権の普遍的宣言」となります。ここで、人類史に光を放つ、その“普遍性”の意味、内容とは何かを考えておきたいと思います。
 「宣言」の“核”は「人間」です。人権を国家間の関係によってのみ規定することなく、国際社会を構成する「人間」それ自体にまで焦点を絞りこんでとらえている。そのような「本質的普遍性」のゆえに、まず、この「宣言」はすべての人類に適用されるものです。
 アタイデ 私は、そうした思いをこめて総会における演説で訴えました。
 「世界のすべての男女を代表して、これらの人々の権利がすべての民族の共同の働きによって守られるべきであることを、われわれは国際正義の名において、ここに厳かに宣言いたします」と。
 池田 すべての国、地域に適用されるという“普遍性”――地球上のいずこにあっても、空間的な限定がないという点を強調されたわけですね。つまり「空間的普遍性」といえるものです。それは、差別禁止を定めた「宣言」第二条の二項に象徴的に表現されています。
 「宣言」には、各種の人権宣言や各国の憲法でバラバラに表明されていた権利と自由が一つに統合されています。さらに、国家レベルでは規定することができない「超国家的な人権」についても宣言しています。
 たとえば、国籍を規定した第一五条には「(一)すべて人は、一つの国籍をもつ権利を有する。(二)何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない」とあるとおりです。
 アタイデ 生まれた場所がどこであれ、あらゆる人間は、他の要素をなんら必要とせず、人間であるというだけで「宣言」の対象となります。
 池田 悠久なる人権史の潮流から見るとき、「世界人権宣言」には、人類誕生以来の“宗教的・根源的なるもの”を根拠とする“具体的人権”が統合され、新たなる展開の「起点」ともなっています。その意味から、二十一世紀を超えて、はるかなる未来へと進化しゆく人類の歴史をつらぬく「時間的普遍性」をも具えていると思うのです。
 アタイデ 来たるべき世紀を律するのは、疑いなく、正義と自由をいだく人間自身です。この小さな惑星の人間の能力が、人類の未来を開き推進する力です。
 非常に力強い表現力で書かれたこの「宣言」は、社会的、政治的、経済的な起源を特定することなく、人間が“人間である”との条件により、どれほどのことを二十一世紀の世界に貢献できるかを示すために作られたのです。

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