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日蓮大聖人・池田大作

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勝利の黎明「2月闘争」(上) 青年よ創価の「師弟の道」を走り抜け

2009.2.14 随筆 人間世紀の光5(池田大作全集第139巻)

前後
1   はるばると
    多くの苦難を
      乗り越えて
    先へ先へと
      地平の果てまで
 その日は、一九九〇年(平成二年)の二月十一日であった。
 アフリカの正義の巌窟王ネルソン・マンデラ氏は、二十七年半に及ぶ迫害の投獄を耐え抜いて、この日、遂に自由を勝ち取ったのだ。
 解き放たれた人道の獅子は、同志へ最大の敬意と感謝を表しながら語った。
 「もはや待つことはできません。いまこそ、すべての戦線で闘争を強化するべき時なのです」(『ネルソン・マンデラ 闘いはわが人生』浜谷喜美子訳、三一書房)
 偉大な魂に停滞はない。自身の釈放は、新たな戦いの始まりであった。人権の闘士は、民衆と共に、拳を高々と突き上げたのだ。
 奇しくも、それは、わが師・戸田城聖先生の生誕満九十年の日であった。
 マンデラ氏釈放の報に接し、私は「広宣流布の巌窟王」であられた恩師を偲びつつ、二十一世紀の希望の大陸アフリカに新時代が訪れたことを確信した。
 マンデラ氏と私が最初の出会いを果たしたのは、この八カ月後であった。初来日に際して、聖教新聞社へ駆けつけてくださったのである(十月三十一日)。
 氏は、私のことを獄中で知られていた。
 南アフリカの雑誌に紹介された、「青年への希望」を綴った私の英文エッセーを、牢獄で読んでくださっていたのである。
 晴れわたる青空のもと、マンデラ氏を、私は五百人の若き友と熱く歓迎した。風雪に鍛えられた氏の顔に、会心の笑みが浮かんだ。
 離日の折、氏はアフリカ各国の大使らに語られた。
 「今回の日本訪問での思い出といえば、あの日です。あの輝く目。笑顔。溌剌とした若者たちがいた。立派に育てられていた......」
 あの日から十九年──。今年も、マンデラ元大統領から、グリーティングカードをいただいた。
 当時、歓迎した青年たちも皆、立派に活躍している。
2  マンデラ氏との対話の折、私は法華経の「三草二木の譬え」を踏まえ、色とりどりの「人華」が多彩に平等に咲き誇る、人類の未来への希望を語った。
 すべての人びとが自らの生命の尊厳に目覚める!
 誰もが等しく永遠の幸福を勝ち取る権利がある!これが万人成仏の法理だ。
 この法華経の真髄を、わが師・戸田城聖先生は、法難の獄中で体得なされた。
 そして、先師・牧口常三郎先生を獄死せしめた権力の魔性への憤怒に燃えて、広宣流布の大闘争に立ち上がられた。出獄した先生は、苦脳の民衆の心に、勇気と希望の火を灯していった。
 この稀有の師あればこそ、法華経の哲理は、現代の光明として蘇ったのだ。
 マンデラ氏と語る私の胸にも、恩師が一緒であった。
3  昭和二十七年の一月、戸田先生は「大白蓮華」に和歌を発表なされた。
  友どちの
    集いも堅き
      学会は
    折伏行の
      王者なりけり
 そして先生は、この一月、「いよいよ大を出すか」と、私を蒲田支部の支部幹事に任命されたのである。
 師は待っていた。あらゆる壁を破って、広宣流布の勝利の道を決然と開く、不二の弟子が躍り出る時を、忍耐強く待っておられた。
 一月二十九日。青年支部幹事の私は、蒲田支部の緊急組長会に臨んだ。会場は、大田区・鵜の木三丁目の集会所であった。今、世界の友が訪れる大田文化会館のほど近くである。
 二十四歳の私は訴えた。
 「戸田先生の指導があって、今の私たちがあります。ご恩返しをするには、広宣流布の戦いしかない。
 戸田先生の五十二回目の誕生の月を、なんとしても歴史的金字塔で荘厳しましょう!」
 そのために「組で二世帯の拡大を!」──私の発声に、蒲田支部の白木静子婦人部長、さらに「組」(現在のブロック)のリーダーである壮年や賢婦人たちの目が輝いた。
 いよいよ「二月闘争」の火ぶたが切られたのだ。
 私は心に期していた。
 ──戸田先生は、戦前、ただ一人、牧口先生直結の「師弟の道」を歩まれた。いついかなる時も、「牧口先生! 牧口先生!」と叫び続けていかれた。
 戸田先生が広布の大師匠として立たれた今、いったい誰が「戸田先生! 戸田先生!」と叫び抜いて、真実の「師弟不二の道」を示すのか。
 「人は能く道を弘む」とは、中国の孔子の至言である(『論語』)。
 弘める人なくして、道はない。すべては人で決まる。
 この「二月闘争」を起点に、創価の師弟に流れ通う「絶対勝利の血脈」を、学会総体にみなぎらせるのだ──。
 御聖訓には「よき師と・よき檀那と・よき法と此の三寄り合いて祈を成就し国土の大難をも払ふべき者なり」と説かれる。
 「師弟不二ならば、一切を勝利できる」──これが、仏法の要諦であり、学会精神の真髄である。
 「師と共に」戦うから、小さな自分の穀を破れる。
 「師のために」戦うから、本当の底力が出せる。
 「師弟不二」なればこそ、いかなる苦難も恐れず、生命の最極の軌道を進める。
 戸田先生の事業の苦境をはね返して、第二代会長への就任の道を開いた私には、この師弟不二の極意の相伝を受けきった大確信があった。
 「師弟」に徹する一念を根幹に、蒲田支部は一丸となった。御金言通りの「異体同心」の結合体となったのだ。

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