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スポーツ部と勝利の哲学(上) 君よ健康に! 青年よ鍛え勝て

2008.11.26 随筆 人間世紀の光5(池田大作全集第139巻)

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1   生き生きと
    青春走る
      勝利かな
    君らは英雄
      何と嬉しや
 古代ギリシャの大詩人ピンダロスは、オリンピックの勇者を祝勝して歌った。
 「労苦なしに
 それ(幸福)は現われない」(『祝勝歌集/断片選』内田次信訳、京都大学学術出版会)
 労苦と忍耐の彼方に、青年の勝利と栄光はある。
 この秋、わが青年部に、「スポーツ部」が発足した。
 野球やサッカー、陸上競技、シンクロナイズドスイミング、体操、そして柔道、剣道、相撲、空手、ボクシングなどの格闘技、競輪、自転車ロードレース、ゴルフ等々、実に多彩な分野で、若き友は奮闘している。
 オリンピックに出場したメンバーもいる。怪我を乗り越えて、堂々とタイトルを勝ち取った同志もいる。
 真剣勝負に挑む青年と会うことは、何よりも嬉しい。
 私も折々に、スポーツの世界で活躍する同志たちと出会いを重ねてきた。
 試合や大会と聞けば、妻と題目を送り、健闘と勝利を祈るのが、常である。
 健康第一で、頑張れ!苦難に負けるな! わが道で、断じて勝ちまくれ!
 君は君の戦野で、日本一、世界一をめざしゆけ!
 全員が人生の勝利王になるのだ。これが信心である。
 わがスポーツ部の誕生は全学会の「健康・勝利」そして「青年・勝利」の希望の瑞相と喜び合いたい。
2  戦争中に少年時代を過ごした私の世代は、スポーツではなくして、軍事教練に明け着れた。それだけに、新時代の若人には、スポーツという「平和の文化」を謳歌してほしかった。
 私が若き日、編集長を務めた『冒険少年』『少年日本』でも、スポーツの記事や物語を多く取り上げた。
 野球少年が登場する澤田謙先生の「少年隊の凱歌」も懐かしい。その一節には、「大人の世界では、悪いものだけがはびこって、善い人がみんな小さくなっているんです。人をおどかし、ごまかし、いじめるものがいばっていて、正直なもの、おとなしいものが、いじめられているんです」(『少年日本』昭和24年11月号、日本正学館)と。
 だからこそ正義の青年が心も休も鍛えて、強くなり、社会を変えていくのだ。
 フランスの行動する作家ロマン・ロランは、学生に「スポーツが名誉とする二つの威厳ある美徳」(「革命によって平和を」蛯原徳夫訳、『ロマン・ロラン全集』18所収、みすず書房)について語った。それは何か。
 一つは「勇気」であり、一つは「公正」である。
 充実の青春を、誉れ高く飛翔そして勝利しゆくための二つの翼が、ここにある。
3   人生の
    最高峰の
      道歩む
    誇りと名誉を
      子孫に伝えむ
 戸田先生のもとで開催した青年部の体育大会も、私が発案した。当初、理事室は反対だった。だが、先生は「将来のために意味があるだろうから、やりなさい」と任せてくださった。
 第三代の会長になってからも、青年たちと一緒に体を動かし、汗を流す機会を大事にしてきた。
 東西の創価学園や創価大学の"運動会""体育祭"にもよく参加した。練習中のクラブの友を励ましたことも数え切れない。
 特に、しばしば試合を行ったのが、卓球であった。卓球は、私の得意競技である。最初、遠慮がちの学園生、創大生も、私の入魂のサーブやスマッシュを受けるうち、激しいラリーの応酬に打って変わる。
 「これを受けられるか!」「よし、負けるな!」──私が打ち込む球に、懸命に応戦する姿が、頼もしい。
 その熱戦のなかで、皆が勝利への執念の大切さを実感していったのである。
 各地の友好の集いなどでも、飛び入りでラケットを握った。中野区、大田区、群馬県、長野県、新潟県、兵庫県、北海道......。あの日あの時、一緒に白球を迫った友の顔が、胸に蘇る。
 スポーツには、人と人を結ぶ不思雑な力がある。
 訪中の折には、北京大学の英才たちと卓球交流をした。創価大学に迎えた留学生たちとも、幾たびとなく卓球をしたものだ。
 未来志向の"ピンポン外交"であった。
 ともあれ、「黄金が精錬される時/ありとある光輝を放つ」(前掲『祝勝歌集/断片選』)と大詩人ピンダロスは歌った。打って出て、心身を練磨することは、人生の光となり、爽快な歴史と輝くものだ。

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