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日蓮大聖人・池田大作

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師弟勝利の7月(下) 人生は生涯闘争なり!

2007.7.28 随筆 人間世紀の光4(池田大作全集第138巻)

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1   この一生
    勝ちぬけ悔いなく
      師弟不二
 「大阪大会」が終わると、参加した友は、三類の強敵に憤怒するとともに、歓喜しながら帰っていかれた。
 誠に誠に、逞しき美しき学会精神である。
 私は、皆が風邪をひかないように、必死で題目を唱えた。そして、この方々を、一生涯、護り抜くことを決意した。
 この日、母に抱かれていた子や、おなかにいた子のなかに、後に関西の創価学園の一期生として入学してくれた少女も多くいた。
 この「園子」(女子学園生の愛称)たちも、今や立派に育って、常勝関西をはじめ、各地で新時代の幕を開いてくれている。
 「正義の怒りに燃える女性の勇気、心の奥底からの魂の自由の叫びほど、人びとの心を強く突き動かすものはありません」──わが親友であるアルゼンチンの知性エスキベル博士の、女性への感嘆であった。
 そして、この母たちの心を、後継の青年たちが厳然と受け継いでくれている。
 「常勝関西」と聞けば、私の心は、いつも晴れ晴れとする。
 わが関西青年部の代表は、この五十周年の「7・17」を、中之島の中央公会堂で、威風も堂々と飾ってくれた。中部の青年部も同じ心だ。
 フランスの文豪ロマン・ロランは言った。
 「われわれの腕によって開拓された勝利の道をわれわれの息子たちが前進していく。ぼくらの苦労が未来を救ったのだ」(『ジャン・クリストフ』4、片山俊彦訳、『ロマン・ロラン全集』4所収、みすず書房)
2   激戦に
    また激戦を
      勝ち越えて
    連続勝利を
      同志と築けり
 出獄後、私は、苦難を共にした関西の同志に、励ましの言葉を贈った。
 「百折不撓の精進を共々誓うのみ。人生は生涯闘争なり」
 「お互いに大いなる人間革命をなしゆく機会です。最後の勝利者が真の勝利者である。一人起てる時に強き者が真の勇者である」
 「大阪大会」から十日余りが過ぎた七月二十九日、私は公職選挙法違反の容疑で起訴された。
 釈放された身ではあったが、「刑事被告人」となったのである。
 当然ながら、「起訴」即「有罪」ではない。「被告人」即「犯罪者」ではない。
 ましてや、私は、容疑とされる選挙違反など一切関与していない。
 起訴は無実の罪を押しつけた「冤罪」であり、でっち上げの虚構なのである。
 だが、日本の刑事裁判においては、いったん起訴されれば、有罪率は実に九九パーセントに及ぶと、巷間言われている。
 担当の弁護士までもが、全くの無実と知りながら、「有罪は覚悟してください」などと言い出すありさまであった。
 しかし──牧口先生、戸田先生の弟子として、断じて勝たねばならない! いな、断じて勝ってみせる! いな、断じて勝つ!
 私の一念は微動だにしなかった。
 「真実は勝利します」(カレル・チャベック『マサリクとの対話』石川達夫訳、成文社)
 ──私が対談した欧州統合の父クーデツホーフ・カレルギー伯爵も心の師と仰いだ、チェコの哲人政治家マサリクの大信念である。
 この日、七月二十九日は、国家権力を背景にした宗教弾圧の嵐に立ち向かい、若獅子が正義と真実の完全勝利を誓った日である。
 初代と二代の仇討ちに、第三代が挑み起った日なのだ。
 そのような心の深き不惜身命の弟子が躍り出ることを、私は待っている。
 一人でもよい。その一人は百万人に通ずるからだ。
 いな、一千万人に通ずるからだ。
3   負けるなと
    また勝ちゆけと
      祈るらむ
    師弟の道は
      不敗の道かと
 わが師が衰弱しゆく身体で、力を振り絞りながら、今世の広宣流布の最後の指揮を執られていた一九五八年(昭和三十三年)の三月五日、私は裁判に出廷するため、先生に大阪行きのご挨拶をした。
 先生は、しみじみと言われた。
 「大作......君は罪を一身に背負おうとした。本当に人の良い男だな。
 でも、だからこそ安心だな、学会も」
 「裁判は容易ならざる戦いになるだろう。いつまでも、君を悩ませることになるかもしれぬ。しかし最後は勝つ!
 金は金だ。いくら泥にまみれさせようとも、その輝きは失せるものか!
 真実は、必ず明らかになる。堂々と、堂々と、男らしく戦え!」

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