Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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世界広布と青年 一人立て君のいる場所で勝て!

2005.10.17 随筆 人間世紀の光3(池田大作全集第137巻)

前後
1  激しい変革期を生き抜いた文豪ユゴーは、変化を恐れなかった。むしろ、勇んでその渦に飛び込んでいった。
 「革命という名の、すばらしい大股歩きの時代に私たちはいるのです」(『言行録』稲垣直樹訳、『ヴィクトル・ユゴー文学館』9所収、潮出版社)
 これは、ユゴーが、イタリアの革命家マッツィーニからの要請にこたえ、イタリア統一運動に戦う民衆に送った檄文の一節である。
 国家や民族の壁も超えて、彼は"同志"に訴えた。
 「まっすぐに歩きましょう。もはや『まあ、このあたりで』などと言っている場合ではないのです」
2  今、私たちも、この地球を大舞台として人間主義の連帯を広げ、人類の平和と幸福のために、「大いなる革命」に突き進んでいる。
 過去に繰り返された流血の革命では決してない。
 それは、自分は幸福になれないとあきらめる、その心の闇を破る希望の革命だ。
 世界平和など不可能だと冷笑する、暗い諦観を打ち破る、精神の革命である。
 私たちは、それを「人間革命」と呼ぶ。
 二十一世紀を「人間革命の世紀」へ! その行進の先頭に躍り出たのが、世界広布の大使命に生きる、尊きSGIの皆様である。
 私は、この大切な、大切な世界の友を、今月の本部幹部会でも心から歓迎した。
 また、過ぎし九月は、伝統の「SGI青年研修会」に、若き「地涌の菩薩」である二百五十人もの男女青年が、五十五カ国・地域から生き生きと集って来られた。
 お会いするその時を、私は心待ちに待っていた。
 来日直後の本部幹部会(九月十四日)で、入場した私の目に、満面の笑顔で手を振り、全身で喜びを表す諸君の姿が飛び込んできた。
 ああ、不思議な地涌の使命の青年たちよ!
 私は、妻と二人して、諸君を見つめながら、高々と腕を掲げた。
 共に戦おう!
 共に生き抜こう!
 共に必ず勝利しよう!
 ――あの日の、響き合う生命の劇は一生涯忘れない。
3  本年はSGI発足三十周年であり、一九六〇年(昭和三十五年)十月二日、私が初めて世界平和の旅に出発してより四十五周年であった。
 今回の研修会には、"学会二世"のメンバーも多く来日していた。親から子へ、正義の闘魂の継承は、いよいよ世界中に広がってきた。
 世界のあの地、この地で、青年たちは、いかなる労苦をも先駆者の誉れとして、懸命に奮闘している。
 会合一つ開くにも、何時間も車や列車に乗り、やっと皆が参集できる国もある。一人の友を激励するために、百キロ、二百キロの遠路を地道に通うメンバーもいる。
 青年たちには、日本に来ること自体も戦いだ。
 不安定な国情のなか、祖国の平和を何年間も祈り続け、研修に参加した友もいた。
 給料の何カ月分にもあたる旅費を捻出しようと、必死に働き、生活費を切りつめて、初めての来日を勝ち取った青年も数多くいる。
 日蓮大聖人は、幼子を連れて佐渡まで訪ねて来た女性信徒を、"あなたが仏になれずして、いったい誰が仏になれるでしょうか"といわんばかりに讃えられた。
 同じように、世界の青年の求道心を、必ず御本仏が絶讃されているにちがいない。
 大聖人は、この婦人に「道のとをきに心ざしのあらわるるにや」と書き送られている。
 「道の遠き」とは、「困難な状況」ともいえよう。苦難に負けず、法を求め、法を弘め抜いてこそ、不動の幸福の軌道を開いていける。
 「心ざし」とは、「奥底の一念」である。誰が見ていようがいまいが、自分自身の心はごまかせない。
 自身の勝利へ、不動の決意があるか。広宣流布の大願が脈打っているか。師弟共戦の誓いがあるか――。
 その一歩深き心が、人生を決めていくのである。

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