Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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未来部育成の聖業 正義の師子の心を赫々と伝えよ

2002.3.22 随筆 新・人間革命4 (池田大作全集第132巻)

前後
1  十九世紀のイギリスの著名な文化人であるカーライルは言った。
 「人間が人間に与える力は無限である」(『ゲーテ=カーライル往復書簡』山崎八郎訳、岩波文庫)
 私も、その通りだと思う。人は、生命と生命を触発し合いながら成長する。
 そして、善き人間の力は、善人をつくる。
 悪しき人間の力は、悪人をつくってしまう。
 ともあれ、善き人間と人間との関係をもつことが、絶対に必要な法則である。
 わが創価学会は、新しき「人間革命の世紀」を創り、人間と人間とを錬磨しゆく団体である。
 永遠に不滅である仏法を信仰しながら、共々に無限の力を具現しながらの最高善の人生行路を歩んでゆく。
 その不滅の人間革命の法理の力を受け継ぐ、若き未来部の師子たちを、断固として育てゆかねばならない。
2  今月、そして四月は、将来のため最も大切な未来部の「希望月間」である。
 未来部が大事だ。これで将来は決まる。
 学会創立百周年を迎える二〇三〇年を担い、世界広布の中核となるのは、まさに今の未来部であることは、まぎれもなき事実である。
 その後継の人材の育成に奮闘してくださる「二十一世紀使命会」の皆様、壮年・婦人部の「育成部長」の皆様、さらに、学生部の「進学推進部」の皆様に、私は心から感謝を捧げたい。
3  未来を担う”後継の子どもたち”を大切にする──それは、遠く釈尊に遡る、尊き仏法の伝統精神であった。(以下、『仏弟子の告白』〈中村元訳、岩波文庫〉を参照)
 実際、釈尊の弟子のなかには、わずか七歳ほどで門弟となった人もいる。
 当時は、今と違って学校制度のない時代であった。釈尊の弟子になること自体、”最高の人間教育の学舎”に入るに等しかったといえるであろう。
 ある日、一人の子どもが大きい湖から、清らかな水を運んでいた。
 その姿を見つめていた釈尊は、高弟の舎利弗に、声をかけた。
 「水瓶を手に、こちらにやってくる子をごらん! 心がよく安定しているよ」
 「振る舞いも見事じゃないか」
 かよわき七歳のその子どもは、わが耳に聞こえてきた、この師の励ましを胸に刻みつけ、生涯、忘れることはなかった。
 また、別の子どもは、釈尊の質問を受けた時、物怖じすることなく、はっきりと答えた。
 釈尊は嬉しそうに言った。
 「今日からは、私に会いたいと思う時は、いつでも会いにおいで!」
 釈尊は、たとえ幼くても、修行を共にする子どもを、一個の人格として尊重し、温かい言葉で激励していったのである。
 この師弟の交流を原点として、子どもたちは成長し、使命を知り、そして深き人生を生き抜く決意をもち始めていったのである。

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