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日蓮大聖人・池田大作

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創立70周年を記念して(2) 人を作れ 広布の人材を作れ!

2000.10.27 随筆 新・人間革命3 (池田大作全集第131巻)

前後
1  七十周年の「創立の日」を前に、師・戸田先生の「人間学」、また「生命学」の一端について、引き続き、紹介させていただきたい。
2  「性格」という命題について、先生は言われた。
 「人間の性格というものは、直らない。川の流れる道筋が変わらないように、性格も大きくは変わらない。運命的に決まっている。
 しかし、泥水の川も清らかな流れに変わるように、性格も、濁りを落とし、清浄にすることができる」と。
 そのためには、どうすればよいか。
 妙法を朗々と唱えながら、人のため、社会のために尽くしていくことであると、先生は教えられた。
 正義の中の正義の行動によってこそ、その人に流れる生命は清々と浄化され、豊かに水かさを増していくからである。
 「広宣流布」という究極の大目的に向かって無我夢中に動いていけば、自然のうちに、性格の悪い面などは冥伏し、良い面が躍動してくるものである。
 たとえば短気な人は、悪に対する怒りを燃やせばよい。
 内向的な人は、思慮深さを皆のために光らせればよい。
 せっかちな人は、そのスピードで善の前進を加速すればよい。
 この一生、自分は自分らしく、伸び伸びと持ち味を発揮しながら、自らの偉大なる人間革命の花を咲かせゆく。
 ここに、「桜梅桃李」の仏法と人生の世界がある。
 「人間は、自分を良く見せようとするものだ。誰でもその癖がある。ありのままの姿でいきなさい。私は、自分の卑屈さを直すために努力したものだ」とも、戸田先生は率直に語られた。
 人びとを窮屈な型にはめようとする偽善の宗教者とは、まったく異なる、無作の人間教育者の実像が、そこにはあった。
 「人から何回も注意されながら、時が過ぎれば、角が取れ、どんな人でも良くなり、収まる所に収まるものだ」
 これも、先生の人生哲学であった。
 だからこそ、忠告してくれる先輩や同志が大事なのである。
 いわんや、弟子の成長を願う師の叱咤が、どれほど有り難いか。
 人の性格をよく見抜いて、その個性がいい方向に向いていくようにリードするのが、真実の指導者である。
 「どんな立派な人間でも、短所がある。また、どんな癖のある人間でも、長所がある。
 そこを活かしてあげれば、みな、人材として活躍できるのだ。
 人を見て、その人にあった働き場所を考えることがホシだ」とは、先生の将軍学である。
3  先生は、夫婦や家庭教育についても、公正な判断をしながら、見守り、指導していかれた。
 「たとえば、夫が百点の人望や人格があっても、妻が愚かであれば、五十点になってしまう。
 反対に、夫が五十点くらいしか評価されない存在であっても、妻が聡明であれば、夫を八十点、九十点まで光らせていくことができる。
 ゆえに、妻の女性としての生き方、夫婦のあり方、社会とのつながりを、誠実に、賢明に、心していかねばならない。
 そして、その妻を百点満点にしていくのが、信心であり、学会の指導である。
 これは、夫の側についても同じである」と。
 さらに先生は、婦人部に対しては、「金銭にルーズでは、家庭を立派に建設できない。月給が少ないからといって、いつも愚痴をこぼしていても仕方がない。毎日、家計簿をつけていきなさい」と、それはそれは毅然として、指針を示された。
 家計簿をつけていくうちに、何か無駄はないか、節約の余地はないか等々、全体的に、計画性、生活性ができあがっていく。
 私の妻は、今でも家計簿をつけ、戸田先生のおっしゃる通りに実行している。その家計簿は、一家の宝となっている。
 ある時は、戸田先生は、男性の心情を代弁されるように話された。
 「夜は、夫婦喧嘩をしてしまうこともあるだろう。
 しかし、朝、夫が出勤する時は、社会に向かって戦いを開始する時であるがゆえに、にこやかに送り出してもらいたい。
 朝は、怒ってはいけない。出掛ける前に、決して夫婦喧嘩はしてはいけない」
 こういう人の心の機微に触れた指導をしてくださった。
 また、戸田先生いわく、
 「子どもの信心は、母親で決まる。母は、本然的に愛情があるからだ。子どもは、母親からどんなに厳しく言われても、その温もりと慈しみを、自ずから感じている。
 信心などについて、父親がやかましく言うと、子どもは反発する。
 父親の場合は、母親のような慈愛でなくして、ある種の残酷性を感ずるからだ」と。

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