Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

厳父の人間教育 立て革命児よ「永遠の都」を築け!

2000.6.2 随筆 新・人間革命3 (池田大作全集第131巻)

前後
1  「知識」追求の専門家をつくるのが、真の教育とは言い切れない。
 それは、専門部門の知性家をつくるといってよい。
 「知識」を通して、「人間」をつくる。「人間」を通して、「知識」を追求する。
 そこに、「幸福」になるための真実の学問がある。
2  わが人生の師・戸田城聖先生は、常に強く、読書を勧めた。この点については、幾たびも語ったことがあるが……。
 「大作、きょうは、なんの本を読んだのか」
 「大作、いまは、なんの本を……」と、幾十回となく、厳しく追及されたことが、本当に、私の今日の力となり、知性の力となり、文学の表現の基礎となったことは、いうまでもない。
 まさに、善のために叱られることは、最大の幸福である。
 叱ってくださる師匠の心もわからず、逆恨みして、反逆したり、非難したりするのは、畜生の心の態度である。
3  私への「読書」を通しての指導の具体的な第一巻は、イギリスの作家ホール・ケインの『永遠の都』であった。
 それは、一九五一年(昭和二十六年)の新春のことである。
 「大作、これを読みたまえ。
 読んだら、近しい同志にも読ませてあげなさい」
 戸田城聖先生は、西神田の旧学会本部で、赤い布装の表紙の本を、私に手渡された。私は、驚いた。
 今になっても、その日の慈父のごとき先生の言葉に感謝している。
 先生の事業が、依然、苦境の渦中にあった時である。
 なぜ、読ませたか。
 なぜ、選ばれたか。
 なぜ、今、読めと言われたのか。
 すべてに、深い指導の宝石がちりばめられていた。

1
1