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日蓮大聖人・池田大作

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「地区」は庶民の幸福基地 最前線で戦え! そこに福徳は無量

1999.9.27 随筆 新・人間革命2 (池田大作全集第130巻)

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1  「足元へ いつ来りしよ 蝸牛かたつむり」(一茶)
 たとえ地味であっても、一歩一歩と着実に進むことが、偉大なる勝利の母となる。
 「善いことというものは、カタツムリの速度で動く」(「インドの自治」一九〇九年、坂本徳松『ガンジー』所収、旺文社)と言ったガンジーは、その真理を知悉していたといえよう。
 かつて、私が、ある月刊総合雑誌の創刊号に寄稿した折、同じ号で、「八王子千人隊」について書かれた、作家の童門冬二氏の一文が目に止まった。(「志の人たち八王子千人隊移住」、『THIS IS 読売』一九九〇年四月号所収)
 「八王子」の文字を見ると、いつも、私の創立した創価大学のことや、また、愛する八王子の同志の姿が胸に浮かぶ。
 この一文も、引き込まれるように読ませていただいたことを、よく覚えている。
2  八王子千人隊は、もと「八王子千人同心」といい、徳川家康の関東入国の直後から、現在の東京・八王子周辺の農村に配置された、幕府直属の在郷武士の集団である。
 千人で編成されたことから、「千人同心」と呼ばれた。
 彼らは土地を与えられ、普段は農耕をしながら、一大事の時には、江戸防衛に立ち上がることを使命として、軍事訓練を続けていたのであった。
 千人隊士の、徳川家への忠誠心は強く、幕末まで変わることなく、子々孫々に伝えられていったという。美事なことだと、私は感嘆した。
 童門氏の考察は鋭い。
 「徳川家への忠誠心は、土から離れなかった者の中に強く残されたといえるのではなかろうか。大都市に出た者ほど稀薄だ。何か事が起こると、すぐ弁解をしたり、逃げ去ってしまう。しかし、しっかりと土に根を下ろしたこの連中には絶対にそんなことはなかった。これが本物の江戸精神である」と。
 私にも、その心はよくわかる。確固たる活動の基盤をもたない者は、多くが師弟の世界からも遠ざかり、人間の本質的な軌道を失っているからだ。
3  「土に根を下ろす」とは、地盤をもつことである。
 「一生懸命」という言葉も、元来は「一所懸命」といった。武士が一領地を命懸けで守ることに由来するという。
 何があっても、自分のいる、その一所を死守する。わが地域に根ざし、そこで勝つ。この懸命な戦いのある者が、最後は勝つという方程式だ。
 法華経では、この娑婆世界を、仏の「本国土」と説いている。いかなる所であれ、広宣流布のため、「私はここで戦う」と決めた場所が、元初より決めた栄光と勝利の常寂光土であるのだ。
 ともあれ、学会の常勝の地盤となり、庶民の幸福基地となるのは、「地区」である。
 地区こそ、広宣流布と一生成仏の尊い本国土なのである。そこを逃れては、自身の本地の場所は見えなくなる。
 その柱こそ、地区部長・地区婦人部長の皆様である。
 この広宣流布の最前線で、ありとあらゆる信心の闘争をしぬくことほど尊きものはない。
 大聖人の称賛と十方の仏菩薩の守護があるのは間違いない。

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