Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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雪と「無冠の友」 「仏の使い」「創価の宝」に感謝

1998.1.18 随筆 新・人間革命1 (池田大作全集第129巻)

前後
1  東京地方も、このところ大雪が続いている。
 目が覚めると、最初に確認したくなるのは全国の天気模様。
 晴れならば一安心。雨や雪だと、聖教新聞の配達員さんのことを思い、胸が痛む。
 ″事故はなかっただろうか。風邪などをひかなかっただろうか……″
 大雪の朝など、届けられた新聞を手にすると、熱いものが込み上げる。
 滑る足元を気遣い、新聞を濡らすまいと必死に庇いながら、配ってくださったのであろう。
 自転車も使えず、配達時間も、いつもの倍以上かかっているにちがいない。
 新聞を見つめながら、その真心に深く感謝せずにはいられない。
2  私も、小学校の六年生から三年間、新聞配達をしたことがある。
 病気がちな父と、働きづめの母に、何か買ってあげたくて始めた。
 肩に食い込む新聞の束を抱え、寒風の道を走った。
 ある雪の日には、滑って、新聞が路上に散乱してしまったこともある。泣きたい気持ちで、新聞を拾い集めたことが忘れられない。
 だが、少年時代に、人より苦労を重ねている自分自身に誇りが高かった。
 ある日のこと。新聞を配達している家の夫妻が、夕食に招いてくれた。ご主人は大学で教鞭をとっておられる方のようであった。
 「小さい時に、苦労することは偉い。君は必ず偉くなるよ」と言って、励ましてくれたことが、今もって懐かしい思い出になっている。
 荘厳なる旭日が昇りゆく、あの朝の爽快さには、自分自身をただ一人包んでくれる、無限の宝の世界にいるような勝利感を感じる。
 また、病弱な体が、新聞配達で、ずいぶん健康になった。
3  わが「聖教」が各家庭に届けられるまでには、多くの関係者の並々ならぬ努力があるのは当然だ。
 大雪が予測されると、本社では降版時間を繰り上げる。道路事情が悪くなり、輸送や配達にも時間がかかるからだ。
 原稿を書く記者も、校閲や整理などのメンバーも、当然、多忙となる。
 新聞を積んだトラックを運転してくださる方々のご苦労も、大変である。
 販売店の皆様の努力もまた、並大抵のことではあるまい。遅れがあれば、少しでも取り戻そうと、時には家族総出で仕分けをすることもあろう。
 刻々と迫る配達時間。危険な暗闇の道を、時間と戦いながら、慎重に、また、慎重に運転。多くの配達員さんへの励ましとねぎらいの声は、安全を守る灯台となっているにちがいない。

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