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第41回「SGIの日」記念提言 「万人の尊厳 平和への大道」

2016.1.26 「SGIの日」記念提言(池田大作全集未収録分)

前後
1  私どもSGIが、国連を支援するNGO(非政府組織)としての活動を本格的に開始してから、今年で35年を迎えます。
 2度に及ぶ世界大戦の反省に立ち、国連が掲げてきた目標は、戦争の惨禍を食い止め、差別と抑圧をなくし、人権が守られる世界を築くことにありました。
 それはまた、私どもが信奉する仏法の根幹をなす、「平和」「平等」「慈悲」の理念とも通じ合うビジョンにほかなりません。人間には誰しも幸福に生きる権利がある。その権利を守るために民衆の連帯を広げ、地球上から「悲惨」の二字をなくすことに、SGIの運動の眼目はあり、国連支援はその当然の帰結ともいうべきものなのです。
2  難民と避難民が6000万人に
 世界で今、多くの人々の生命と尊厳を脅かす深刻な危機が広がっています。
 シリアでの紛争が続く中東をはじめ、各地で難民や国内避難民が急増し、戦闘や迫害から逃れるために家を追われた人々は6000万人にもなります。
 また相次ぐ災害により、わずか1年の間に1億人を超える人々に被害が及びました。洪水や暴風雨など気候に関連したものが9割近くを占めるといわれ、地球温暖化がもたらす影響の拡大が懸念されます。
 こうした中、国連で史上初となる「世界人道サミット」が、5月にトルコのイスタンブールで行われることになりました。
 これまでのサミットの準備会合でも、かつてない規模で広がりをみせる人道問題への危機意識が高まっています。紛争の早期終結とともに、多くの人々が直面する厳しい状況を打開する道を何としても見いだしていかねばなりません。
 難民問題や災害をはじめとする「人道」をめぐる課題は、長年にわたって私どもが取り組んできたテーマでもありました。
 SGIとしても、国連NGOとして「世界人道サミット」に参加し、信仰を基盤にした団体が人道支援に果たす役割などについての議論を深めながら、市民社会の側から連帯の輪を大きく広げていきたい。
 創価学会が、国連広報局のNGOに登録されたのは1981年でした。
 SGIが、国連経済社会理事会との協議資格を持つNGOとなったのは、私がこの毎年の提言を最初に行った83年のことで、現在まで「平和・軍縮」「人道」「人権」「持続可能な開発」の4分野を中心に活動を続けてきました。
 そこで今回は、私どもが国連支援に取り組む上で基盤としてきたアプローチに触れつつ、人道危機などの地球的な課題を解決するために重要となる視座や、市民社会の役割に焦点を当てて論じたいと思います。
3  「誰も置き去りにしない」との誓い
 国連で昨年9月、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」=注1=と呼ばれる、新しい目標が採択されました。
 2000年に合意され、昨年まで貧困や飢餓などの改善を進めてきたミレニアム開発目標に続くもので、そこで積み残された課題に加え、気候変動や災害といった喫緊のテーマを幅広く網羅し、2030年に向けて包括的な解決を図ることが目指されています。
 何より注目されるのは、目標の筆頭に掲げられた「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」との文言が象徴するように、すべての課題を貫く前提として「誰も置き去りにしない」との誓いが明記された点です。
 極度の貧困層の半減を達成したミレニアム開発目標の取り組みから、さらに踏み込む形で、誰一人として見捨ててはならないことが宣言されたのです。
 具体的には、さまざまな脅威の深刻な影響を受けやすい存在として、子どもや高齢者、障がいのある人をはじめ、難民や移民などを挙げ、最大の留意を促す一方で、そうした人々へのエンパワーメント(内発的な力の開花)が欠かせないことが強調されています。
 また、人道危機の影響を受けた地域の人々や、テロの影響を受けた人々が直面する困難を取り除くことと併せて、弱い立場にある人たちが特に必要とするものに対する支援の強化が呼び掛けられています。

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