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日蓮大聖人・池田大作

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各部合同協議会 一生涯、大ロマンに生きよ

2005.7.16 スピーチ(2005.4〜)(池田大作全集第98巻)

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1  良き同志こそ人生の喜び
 きょうは、お忙しいところ、また遠いところ、本当にご苦労さま!
 モンゴルの著名な文学者ロドイダムバは、こう語った。
 「良き同志は、人生の支えであり、人生を生きゆく上の喜びである」
 私もまったく同感である。きょうは、創価学会を常日ごろから、陰に陽に厳然と支え、広宣流布の道を開いてくださっている最良の同志の代表を、お迎えし、これほどの喜びはない。
 皆、いい顔をしておられる。光っておられる。私は心から感謝申し上げたい。
2  恩師が愛した″五丈原″の歌
 恩師戸田先生と私は二十八歳の開きがある。若い私のことを、先生は自分の生命以上に大事にしてくださった。こんな崇高な世界が、どこにあるだろうか。その大恩に何としても応えようと、私は心に誓った。
 ある正月に、戸田先生を囲んで懇親会が聞かれた。その席で、「星落秋風五丈原」を歌ったことも忘れられない。(昭和二十八年)
 作詞は土井晩翠。私は青春時代から詩が好きだった。晩翠の詩も、よく愛誦していた。
 詩人は詩人を知る。詩人を大事にしてこそ、真の文化国家である。指導者には「詩心」がなければならない――これが私の信条である。
 晩翠の詩集は、わが家の本棚にあった。「星落秋風五丈原」は、『三国志』の英雄・諸葛孔明を謳った、とても長い詩である。歌は、それを短くしたものだ。
 懇親会に先立ち、幾人かの青年部が、わが家に来た。そこで「星落秋風五丈原」の話になった。戸田先生の心に通じる内容であり、ぜひ先生に、お聞かせしようということになったのである。
 先王・劉備の理想を継いで戦う諸葛孔明。しかし大業いまだ成らずして倒れる。独り呻吟する胸の内をうたった詩――。戸田先生は、じっと聴き入ってくださった。
  祁山きざん悲秋の風更けて
  陣雲暗し五丈原
  …… ……
  丞相 病篤かりき
3  歌い終わると、「いい歌だ。もう一度、歌ってくれ!」。そしてまた、「もう一度!」と。何回も何回も歌った。
  成否をたれかあげつらふ
  一死尽くしし身の誠
  …… ……
  苦心孤忠の胸ひとつ
  其壮烈に感じては
  鬼神もかむ秋の風
 戸田先生は、涙を流しておられた。先生ご自身が、病と闘いながら広布の大業を一身に担う″孔明″だったのである。そして私に、「俺が死んだ時も、これを歌ってくれ」と言われた。私は、師の言葉を深く、重く受けとめた。
 (昭和三十三年四月二十日、戸田会長の創価学会葬は、″五丈原″の歌が葬送の曲となった)
 孔明その人は、偉大な知将であり、人間王者であった。しかし、自分が仕えた主君の跡継ぎは幼く、武将たちも不甲斐ない。味方は負け戦。民衆は苦しんでいる。そして、迎えた五丈原の戦場。使命を果たさずには、死ねない。先王との誓いを果たすまでは――。
 使命を自覚した者の責務とつらさを、戸田先生は教えてくださった。先生のことを思えば、私の胸には、限りない勇気がわいてくる。

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