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日蓮大聖人・池田大作

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第二総東京代表協議会 一人が決然と師子吼せよ

2004.1.3 スピーチ(2003.7〜)(池田大作全集第95巻)

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1  名実ともに「日本一」の新年勤行会
 それは、十九世紀初頭のある新年のことであった。スイスの大教育者ペスタロッチは、みずからが力と情熱をそそいだ学園の友に、誇り高く呼びかけた。
 「我々の同人は著しくその数を増し、我々の団結は一そうその力を加え、我々の団結に対する信用は、いちぢるしくその重さを加えた」
 「高貴なる人々の無数の眼は、大なる希望をもって我々に向けられている」(「学園講演集」四本忠俊訳、『ペスタロッチ全集』3所収、玉川大学出版部)
 この言葉さながら、私たちも新たな一年を、いちだんと連帯を広げ、団結を強め、信頼を深めるなかで、出発することができた。
 世界の″高貴なる知性″からも、文字どおり、無数の賞讃が寄せられる時代に入っている。
 名実ともに「日本一」の新年勤行会は、各地で、さらなる上げ潮の勢いをもって開催された。お正月から、尊い使命を果たしてくださった役員の方々に、まず私は、心より感謝申し上げたい。
 喜ばしいことに、新春早々、多くの新入会の友が誕生した。また勤行会には、地域の有力者や、友人の方々も多数、出席してくださっている。
 海外でも、アメリカのボストン会館での新年勤行会には、私と連載対談を行っている「平和の文化の母」エリース・ボールディング博士が、すばらしい笑顔で参加してくださった。
 博士は、こう語っておられたという。
 「アメリカSGIの集いには、さまざまな人種の人たちが参加しております。これは、他の宗教の集いには見られない現象です。ここに、歓喜にあふれた人間の共同体(コミュニティー)の確かな実像があります」
 (さらに博士は「池田会長は、その共同体を世界の百八十力国以上に広げ、発展させておられます。こうした集いに参加でき、私自身、すばらしい新年のスタートを切ることができました」と述べていた)
 創価の人間共和の世界が、どれほどうるわしいか。ここにこそ、人類が求めてやまぬ「平和の文化」の縮図があるといってよい。
2  日蓮仏法は現実変革の力
 対談集『文明・西と東』をともに発刊した、「ヨーロッパ統合の父」クーデンホーフ=カレルギー伯爵の忘れ得ぬ言葉に、「学校と新聞は、血を流さないで、暴力を用いないで世界を革新し、向上せしめる二つの基本点である」(『実践的理想主義』鹿島守之助訳、鹿島研究所出版会)とある。
 そのとおりである。伯爵とは、東京・信濃町の聖教新聞本社でも親しく語りあった。
 「正義の言論紙」である「聖教新聞」を配達してくださる誉れの無冠の友の皆さま方! 今年も健康で、絶対無事故で、よろしくお願い申し上げます。
 さらにまた、伯爵が創立まもない創価学園に足を運ばれ、凛々しき学園生を絶讃してくださったことも懐かしい。
 今や、創価教育の光は、世界を照らし始めた。
 先日(二〇〇三年十二月十日)行われた、アメリカ創価大学大学院の卒業式には、アメリカ実践哲学協会会長のマリノフ博士も来賓として出席してくださった。
 (=マリノフ博士は、二〇〇三年五月に発刊され、各国でも大きな反響を広げている自著『大いなる問い―哲学は、いかに人生を変えうるか』の中で、日蓮仏法の思想と池田SGI会長の言葉を紹介している)
 博士は、こう訴えておられた。
 「仏法が目指すように、人類の真の勝利の証は、すべての人々が苦悩から解放されることにある。しかし、苦悩からの解放といっても、それは苦悩を避けて通ることを意味するのではありません。それを乗り越えることです。実際、人間は、最悪の環境から最良の結果を引き出すことができる存在なのです」(「聖教新聞」二〇〇三年十一月五日付)
 博士は私の言葉に着目されながら、「人間には自らの限界を乗り越えていく力が備わっています。私たちが限界を打ち破れば、他人が私たちを″限界の璧″に閉じこめておくことが、一層難しくなるのです」(同前)とも語っておられた。
 マリノフ博士は、現代が「価値観の空白」の時代であることを憂慮されている。哲学なき社会は、漂流し、迷走せざるを得ない。
 博士は、こう力をこめておられた。
 「今、人類は再び『哲学』に目覚めるべき時に来ていると思えてならないのです」「哲学の新しい展開によって、人類が新しい時代を開き、今までの人類を凌駕するような、重要な時期にさしかかっていると思うのです」(同〇三年二月十八日付)
 では、いかなる哲学が、その役割を果たすのか。博士は、ずばり答えてくださった。
 「今、世界は困難な状況に直面しています。人類は、この厳しい現実の中から、何とか理想の高みへと飛躍しなくてはならない。人々の間の反目と無理解を、理解と協調へ転換していかねばならない。
 この現実のギャップを″最短距離″で結ぶことができるのは、パワーに満ちあふれた日蓮仏法ではないか」
 「特にアメリカ社会には、仏法の『中道』思想が必要だと私は見ています」(同前)
 これが、二十一世紀を担い立つ哲学者の展望である。創価の前進は、まさしく世界の希望なのである。
3  方画伯「多忙こそ長寿の道です」
 この年末年始、世界の多くの友人から、うれしいお便りをいただいた。
 「香港の芸術の母」であられる方召麐ほうしょうりん先生は、私の誕生日に寄せて、見事な書を届けてくださった。今春、九十歳になられる先生は、「多忙こそ長寿の道です」と語られながら、日々、生き生きと若々しく、美の創造を続けておられる。(=二〇〇六年二月逝去)
 いただいた書の一幅には、方先生の好きな言葉である「松濤」(松に風が吹く音を波の音に譬えた語)。そして、もう一幅には「正義感」と、墨痕も鮮やかにしたためられている。それはそれは力強い文字が躍動している。私は感動した。
 さらに、このほど、アメリカで新しく発刊された私の英文詩集『平和への闘争』には、パグウォッシュ会議名誉会長のロートブラット博士(ノーベル平和賞受賞)が、過分な紹介文を寄せてくださっている。
 ロートブラット博士は九十五歳。「健康長寿の秘訣」を聞かれて、「一つの大きな目的に向かって、わき目も振らずに進んできました。それが生きがいになっていると思います」と、淡々と語っておられたという。
 「一つの仕事を終えると、すぐ次の仕事について考え始める」――これが、この平和の闘士の信条である。
 その博士が、私の詩集の「紹介文」の中で、こうつづっておられる。
 「いつの時代にも、どれほどわずかであれ、正義を希求する尊き声はあげられてきた。しかし、増幅する暴力と憎悪をもしのぐ正義の大音声を、今ほどあげねばならない時はない」
 こうした大先輩の魂の叫びに応えて、私たちは、今年も、断固として「正義の獅子吼」を貫いてまいりたい。

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