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日蓮大聖人・池田大作

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各部・海外代表協議会 未来のために新しい「友情の道」を開け

2003.12.5 スピーチ(2003.7〜)(池田大作全集第95巻)

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1  周恩来総理との忘れ得ぬ出会い
 歴史には、逃してはならない「時」がある。
 世界には、開かねばならない「道」がある。
 きょうは、私が中国の周恩来総理と、忘れ得ぬ出会いを刻んだ日である。一九七四年のことであった。
 「人を感動させるものは、誠心誠意である」(王永祥・高橋強『周恩来と日本』周恩来・鄧穎超研究会訳、白帝社)
 このご自身の言葉どおり、周総理は、三十歳も若い私を、重い病の身にもかかわらず迎えてくださった。
 お会いした瞬間、総理は私の手を、強く強く握ってくださった。そして、私の目をじっと見つめ、言われたのである。
 「池田会長は、中日両国人民の友好関係の発展はどんなことをしても必要である、ということを何度も提唱されています。そのことが、私には、とても嬉しいのです」
 私は、一万数千人が集った学生部総会で、日中国交正常化を提言していた。(六八年九月八日)
 当時は、東西冷戦の時代であり、中国に対する国内世論は厳しかった。
 提言に対しても、批判の声を数多く受けた。脅迫電話もあった。両国の友好を叫ぶことは、命の危険さえともなった。
 しかし、民衆のため、平和のため、断じて日中友好の歴史を開かねばならない――それが、私の信念であった。
 周総理との話は、友好の未来へ、人類の平和へと広がった。
 総理は、私の手をがっちりと握り、ご自分の腕を大きく揺さぶった。喜びをこめた、総理の力強い握手であった。
 笑みをたたえた総理の姿が、今も私の胸から離れない。
2  民間外交で中ソの橋渡し
 周総理と会見した三カ月前、私は、ソ連のコスイギン首相とも会見した。
 この時も、「なぜ宗教者が宗教否定の国へ行くのか」等と、ごうごうたる非難を受けた。
 しかし、批判はもとより覚悟のうえであった。ただ、日ソの友好、そして、対立を深めていた中ソの緊張緩和を願って対話旅を決断した。
 コスイギン首相に、私は率直に質問した。
 「中国はソ連の出方を気にしています。ソ連は中国を攻めるつもりがあるのですか」
 不信を信頼に、恐怖を安心に――双方の国の心を少しでも変えたいとの一心であった。
 「ソ連は中国を攻撃するつもりも、孤立化させるつもりもありません」
 「それを中国の首脳に、そのまま伝えてよろしいですか」
 「結構です」
 対立を望まないソ連の意向を、私は中国首脳に伝えた。コスイギン首相とは、翌年にも語りあった。民間人ではあるが、私なりに、中ソの橋渡しをしてきたつもりである。
 ゴルバチョフ大統領と初めてお会いした時も、開口一番、私は言った。
 「きょうは、大統領と″けんか″をしに来ました。火花を散らしながら、何でも率直に語りあいましょう。人類のため、両国のために!」
 大統領は、にっこり笑い、「私も率直な対話が好きです」と応じてくださった。
 この時、大統領は、翌年の春に訪日する意向を語られた。訪日は、ソ連の最高首脳として初めてのことである。たいへんに重要な発言であった。国が違っても、イデオロギーが違っても、皆、「同じ人間」である。誠実に語りあえば、心は通じあう。平和への意志を結集できる。
 相手がだれであれ、わが信念を堂々と語ることだ。「勇気の対話」こそが歴史を変えるのである。
 周総理は言われている。
 「われわれは人民の世紀の開始に立っている。われわれのこの時代における国際関係の時点は、人民外交の大々的展開である」(『周恩来選集』下、森下修一編訳、中国書店)
 「人民外交」の未来を、周総理は、私たちとともに、大きく開いてくださったのである。
 ともあれ、国も、団体も、人生も、「外交」が重要である。
3  友情を結ベ! それが広宣流布
 戸田先生は、よく言われた。
 「大事なのは、人間としての外交である。どんどん人と会って、友情を結んでいきなさい。すべて、勉強だ。また、それが広宣流布につながるのだ」
 「外交というものを自分の一生の地盤にすることだ。立派な人間としての大外交をしていきなさい」
 「どんな人とも、まっこうから、わたりあえる人間になれ!」
 外交は、誠実である。智慧である。忍耐である。勇気である。
 外交は、信念の戦いである。言うべきことは言いきっていかねばならない。相手に打ち込むべきことは、打ち込んでいくことである。
 南米の解放者シモン・ボリバルの言葉にも、「真実を語り、善を勧める人だけが、本物かつじ純粋な友情を示している」(Obras Completas de Simon Bolivar, Editorial Lex)とある。
 フイリピンのラモス元大統領とも、私は、何度も対話を重ねた。
 外交の名手として名高い元大統領に、私は「外交にあたって、最も大切なことは?」とうかがったことがある。答えは明快であった。
 「どんな国のトップであれ、みんな『人間』です。お互いが同じ『人間』同士として接していくことが大切です。そして、ひとたび結んだ友情は、在任中だけでなく、ずっと続けていくべきです」(「聖教新聞」一九九八年十月三十日付)
 広宣流布は、平和と文化を広げる「外交戦」であり「渉外戦」である。心して自分を磨き、力をつけ、もう一歩深く、強い、拡大の波を起こしていっていただきたい。

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