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日蓮大聖人・池田大作

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第四回本部幹部会、第一回神奈川県・埼玉… 人生は強気で!

2001.3.27 スピーチ(2000.11〜)(池田大作全集第92巻)

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1  関西創価高校の甲子園初勝利
 厳冬を越え、明るい、桜満開の季節を迎えての本部幹部会、おめでとう! ご苦労さま!(拍手)
 海外からも、十五の国から、ようこそ、お越しくださった。
 また、関西創価高校の甲子園初勝利、本当におめでとう! ありがとう!(拍手)
 私もテレビで観戦したが、わが学園生には、「粘り」と「敢闘精神」が光っていた。
 つねに「前ヘ! 前へ!」「絶対に勝つんだ! 勝つんだ!」という勇気。たとえピンチになっても耐えに耐えぬく。そして、さらに「前へ進め! 前へ進め!」との心意気。そうやって、もてる力を、すべて出しきるところに、痛快なる勝利がある。
 そして、勝ち負けも大事だが、もっと大事なのは、「どう人を育てたか」「どういう姿勢で戦っているか」である。私は、指導者として、いつも、そこを見る。
 米田利一監督は、そういう基本を、きちっと選手に教え、鍛えておられると私は感じた。
2  思い出の読書――チェーホフの『桜の園』
 ところで、私は青春時代、ここ巣鴨の東京戸田記念講堂の近くの霊園に、何度か来たことがある。当時、戸田先生の事務所が市谷にあり、時間を見つけて、そこに来た。新聞紙の上に座って、世界文学全集を、むさぼり読んだものだ。
 読書には、電車の中もいいが、読み始めて、いいところになると駅で止まる。込んでくる(笑い)。それに当時は、戸田先生の事業が行き詰まり、私も懸命に働いたが、お金がなく、コーヒー代も、もったいなかった。
 そこへいくと、霊園は静かだし、場所代もいらない(笑い)。読書には絶好の場所であった。
 きょうは、各地の桜も満開である。それにちなんで、思い出の一書である、ロシアの作家チェーホフの名作『桜の園』から話を始めたい。
 チェーホフといえば、ロシアを代表する作家の一人である。彼の最後の戯曲が『桜の園』である。
 完成したのは、一九〇三年。ちょうど、牧口先生が『人生地理学』を発刊された年であった。
 舞台は、農奴解放(一八六一年)の後のロシア。旧勢力が没落し、新勢力が台頭する、革命前の社会が背景になっている。タイトルの「桜の園」は、物語が繰り広げられる、美しき自然の地である。
 チェーホフは、この作品を通して「人間の生活も美しくあれ! そのために、たゆまず働いていけ!」と訴えているのである。
 『桜の園』は、こういう物語である。
 五月、口シアは、桜が満開の季節を迎える。斜陽の地主貴族ラネーフスカヤ夫人が、フランスのパリから、代々の領地である、故郷の「桜の園」に帰ってきた。かつて大金持ちだった夫人は、その時、莫大な借金をかかえていた。
 農奴階級から出て裕福な商人になったロパーヒンは、「桜の園」を別荘地として貸し出すよう勧めた。
 夫人は、これだけは絶対に手放したくなかった。にもかかわらず、夫人も、その兄も、時代の流れを理解できず、何の対策も考えようとしなかった。
 やがて、競売が行われ、「桜の園」は、ロパーヒンに買い取られる。
 小さいころから親しんできた、美しい桜の咲く″幸福の園″を失い、夫人は、悲痛な思いで、ふたたびパリに戻ることを決めた。
 夫人の娘は、古い世界との決別を、むしろ喜んだ。
 「あたしたちは新しい園をつくりましょう、これよりもっとすばらしいのを」(湯浅芳子訳、岩波文庫。以下、引用は同じ)
 そう母を心から励まし、若き青年と手を取りあって、新しい時代に向け、新しい希望に燃えて、新しい人生を出発していった。
3  先手で勝て! 忍耐で勝て!
 物語は、必ずしもハッピーエンドとは言えない。それぞれの未来は未知数である。
 しかし、私は思う。春になれば、またふたたび、桜が咲く。どこかに咲く。希望を忘れるな。忍耐強く春を待ち、必ず成功し、勝利して、人生を飾るのだ!――そんな励ましが胸に響いてくる。
 人生は波瀾万丈である。時代は変化の連続である。それに振りまわされず、逆に、どう先取りし、勝利していくか――ここに人生の究極があり、仏法の真髄がある。
 ロシアにも今、SGIの支部が結成されている。メンバーは皆、意気軒昂である。

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