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日蓮大聖人・池田大作

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全国県長会議 平和の創造へ″精神の勝利″を

1998.12.9 スピーチ(1998.11〜)(池田大作全集第90巻)

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1  母は愛そのもの 「生命」を優しく守り育てる
 先日(十二月六日)、インドの偉大な平和運動家であり、ガンジー研究の第一人者であるラダクリシュナン博士ご夫妻と語り合った。
 博士は一九四四年生まれ。現在、五十四歳。牧口先生が亡くなられた年に生まれたことを、大変、誇りにしておられる。
 「ガンジー記念館」館長をはじめ、「ラマチャンドラン非暴力研究所」所長、「ガンジー研究インド評議会」会長など、さまざまな要職に就かれ、世界に″非暴力運動のネットワーク″を広げておられる。
 インド創価学会の名誉会長としても、大変お世話になっている。
 博士は、インドの自由独立運動の闘士の家に生まれた。少年時代から、ガンジーを誹謗する者たちと戦った。十四歳の時には、二度も逮捕されている。
 そして、大学を卒業した後は、ガンジーの高弟であるラマチャンドラン博士に二十年以上にわたって仕え、戦い抜かれた。
 (この秋、その恩師と名誉会長の名を冠した「ラマチャンドラン・イケダ賞」が創設され、第一回の授賞式がインドで行われた)
 ラダクリシュナン博士のお父さまも、インド独立運動の偉大なる闘士であられた。独立運動を戦い、何度も投獄された。獄中生活は六年間に及んだ。家に帰ってきたのは、じつに、インドが独立した後であった。
 また、博士のお母さまも、大変な苦労をされた。お父さまが獄中にいる間は、収入もなく、自身もいつ逮捕されるかわからなかった。しかし、その中を、毅然と幼子を育てながら、見事に戦い通されたのである。その立派なお母さまが今年の七月に亡くなられた。私も仏法者として懇ろに追善をさせていただいた。
 博士は、かつて″偉大なる母″について、こうつづっておられる。
 「母は、常に愛そのものであり、献身と苦悩と犠牲である。循環的で宇宙的な『生命』そのものを、愛情と心づかいと優しさで守り育てる運命を担っている。母の創造的役割が存在しない人生など、想像することもできない」と。
 この「母の創造的な力」を二十一世紀へ最大に結集しているのが、わが創価学会婦人部である。
2  創価学会は「二十一世紀のルネサンス」の先陣
 ラダクリシュナン博士は、このたび創価大学の名誉博士号を受章され、記念の論文を執筆された。タイトルは、『二十一世紀の教育――創価教育とガンジー主義における教育パターンの比較』。大変、素晴らしい内容である。
 博士は、その中で「サンスクリット語では、『教育』を『解放すること』と定義しています」と紹介されている。そして「ガンジーにとって、教育とは、人格を陶冶し、習慣を形づくり、心身に最高の滋養を与えゆく手段でした」と述べ、「ガンジーの哲学と創価教育には、多くの類似点があります」と指摘しておられる。
 博士自身も、長年にわたり、大学教授として、教鞭をとってこられた。
 これまで、ガンジーグラム・ルーラル大学の副総長も務めるなど、教育の第一線で、ガンジーの思想を実践されている。博士はまた、記念論文の中で、私どもの運動に大きな期待を寄せてくださっている。
 「価値創造者であるSGI(創価学会インタナショナル)の皆さまと、創価の運動は、二十一世紀の人類の連帯と平和を担う、新たな人間革命とルネサンスの先陣です」
 「初代会長の時代に始まり、驚くほどエネルギッシュで構想力豊かな第三代会長に至るまで、創価学会運動が、日蓮仏法の広宣流布を主軸にしておられることは、大変に喜ばしいことです。人類のことを思いやるSGIは、″真実の仏教徒″として、すべての生命を深く尊重し、新たな国際秩序の創造にかかわってこられたのです。しかも、日蓮仏法と法華経へのSGIの献身は、決して、盲目的、教条主義的なものではありません。SGIメンバーは、躍動感と想像力にあふれた『健全な世界観』をもっておられます」と。
3  博士は先日(十月二十五日)、ニューデリーで「教育シンポジウム」を開催された。このシンポジウムは、インド創価学会とガンジー記念館との共催であった。
 博士は、シンポジウムで語っておられた。
 「人々の心の中に国境のない世界、差別のない世界、″壁のない世界″を作らなければなりません。そのために、宗教が大きな役割を果たす時代が到来しています」と。
 また博士は、一昨日(十二月七日)、前回の広島に引き続き、長崎でも原爆について講演してくださった。
 かつてガンジーは、″広島への原爆投下″を知ったとき、「世界が、今、非暴力を選び取らなければ、それは間違いなく、人類の自殺を意味するだろう」と自らに語った。と同時に、ガンジーは、「魂の力は、原爆の力より大きい」と、″人間の精神の勝利″を確信してやまなかったのである。
 この秋、日本の青年部は、核廃絶へ、一千三百万の署名を国連に提出した。
 「戦争の二十世紀」を「平和の二十一世紀」へと転換しゆく青年部の使命は、ますます重大である。

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