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カンピーナス市「名誉市民証」等授与式、… ″民衆を手段にする″悪に終止符を

1998.6.6 スピーチ(1998.3〜)(池田大作全集第89巻)

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1  「正義の人」を顕彰するブラジル、迫害した日本
 ただいま、ホッシーニ議員から、哲学性あふれる素晴らしいスピーチを賜るとともに、カンピーナス市からの数々の栄誉を頂戴いたしました。
 創価学会にとって名誉であり、日本にとっても名誉であります。
 牧口先生、戸田先生が、どれほど喜んでおられることでしょうか。(拍手)
 (会合の席上、ブラジル・カンピーナス市から、初代会長と池田SGI〈創価学会インターナショナル〉会長夫妻に対する顕彰が行われた。カンピーナス市議会議長の代行として、ルイス・カルロス・ホッシーニ議員夫妻が出席。初代会長には、人権の闘争をたたえる銀の銘板が、SGI会長には日本人初の「名誉市民証」「カルロス・ゴメス・メダル」「カンピーナス市議会功労者メダル」「市の旗」が授与された。またSGI会長夫人への特別顕彰も行われた)
 一八七〇年(明治三年)、牧口先生が生誕される前年のことです。貴カンピーナス市出身の、一人の若き音楽家が、イタリアの芸術の殿堂、あのミラノの「スカラ座」に、勇敢に乗り込みました。
 青年は″田舎の音楽家″と侮辱され、笑われながら、人知れず努力に努力を重ね、実力を磨いてきました。「断じて負けない!」との″負けじ魂″を持った獅子でありました。
 人生は「努力」です。「戦い」であります。
 そして彼は、ついに、愛する祖国・ブラジルをテーマにした壮大なオペラを、世界のひのき舞台で堂々と上演し、ヨーロッパの巨匠たちを驚嘆させたのであります。この若人こそ、ただいま私が記念のメダルを拝受した「カルロス・ゴメス」その人であります。(拍手)
 この雄大な人材の天地・カンピーナス市から、若き偉大なる希望の王者のご夫妻をお迎えすることができ、私は本当にうれしく思っております。
 尊敬するホッシーニ議長代行ならびに令夫人、そして、ご臨席のすべての皆さま方。 本日は、このように数々の真心あふれる栄誉を賜り、重ねて感謝申し上げます。
 また、この式典を、ブラジルの地で温かく見守ってくださっているアマラウ市長、ならびにセリン市議会議長をはじめ、貴市の諸先生方にも厚く御礼申し上げます。
2  民衆の問題を解決するために戦う
 初代会長・牧口先生は、生前、日本の国家からは、何一つ、顕彰を受けておりません。否、この世界的な大教育者に、国家主義の日本が報いたのは、牢獄の死でありました。
 侵略戦争に反対する「最も正しい賢者」「正義の人」が、国賊の汚名を着せられ、歴史の闇に、抹殺されようとしたのであります。
 獄死を前に、牧口先生は、取り調べの検事に対して、明快に因果の法則について論じておられます。
 ″人間社会には、正義の大善人が迫害されるという矛盾がある。しかし、永遠を貫く宇宙の因果の法則は絶対である。この道理を行動の規範としていけば、目先の世間の毀誉褒貶など、いささかも恐れる必要はない″
 牧口先生は、このように、悠然と言い切って、殉教されたのであります。
 そして、生誕百二十七周年の本日、地球の反対の、最も遠いブラジルから、牧口先生に、かくも意義深き顕彰が寄せられました。
 「創価の父」は、生死を超えて、厳然と勝利したのであります。(拍手)
 この師弟不二の栄冠を、私は、一千万の同志を代表し、牧口先生、戸田先生に、晴れ晴れとご報告申し上げるものであります。(拍手)
3  貴カンピーナス市は、二十一世紀をリードする学術と文化と経済の先進都市であり、日本の岐阜市とも交流を結んでおられる。
 「カンピーナス」という名前は「平原」を意味します。環境保全の取り組みにおいても世界的に有名であり、豊かな緑の都市を建設しておられる。市民の憩いの公園は、何と二千五百カ所。そこには、五百五十万本もの木々が植えられていると、うかがっております。
 その緑化計画を力強く推進してこられたのが、ここにおられるホッシーニ議員なのであります。(拍手)
 さらに、議員が「市民権の尊重」「人権の擁護」に関して、次から次へ、具体的な政策を立案され、実施されてきたことも、私たちは、よく存じあげております。また、令夫人は「血液学」の高名な医学博士であられる。夫妻して、貴き献身の歴史をつづってこられました。
 議員は、こう語っておられます。
 「すべてを実現することはできない。しかし、民衆の側に立ち、民衆の問題を解決するために戦うことはできる。これこそいちばん大事なことである」と。
 素晴らしい言葉です。牧口先生の哲学の精髄も、この一点を強調しておりました。
 要するに、「権力者が、民衆を自己の栄達の手段にしていく時代」に幕を閉じなければならない。そして「指導者が、民衆のために、自己をなげうって、貢献していく時代」を開かねばならない。牧口先生は、一生涯、この一点で戦いました。私も戦ってきました。皆さまも、戦ってください!。(拍手)
 正義の人が侮辱され、迫害されているのに、本気で立ち上がらない臆病者は、来世もまた″蛇ににらまれた蛙″のような、いつもおびえている生命になってしまう。勇気こそ仏法者の資格であります。

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