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日蓮大聖人・池田大作

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アメリカSGIの「7・3」記念研修会 リーダーは「祈りから出発せよ」

1996.7.3 スピーチ(1996.6〜)(池田大作全集第87巻)

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1  「師弟」が人類を進歩させる
 五十一年目の「七月三日」を、アメリカの友と迎えることができた。
 一九四五年の七月三日、午後七時――。恩師・戸田先生は出獄された。
 権力によって、非道にも、侮辱され、獄死させられた師・牧口先生の「正義」を、「真実」を、「偉大さ」を証明せんがために、ただ一人、奮然と戦いを開始されたのである。
 その十二年後の七月三日、午後七時――。私は、無実の罪で入獄した。恩師・戸田先生を、一人、厳然と、お守りするために。また、けなげなる関西の同志を守りぬくために。
 「師弟の道」に徹する限り、何の迷いもない。何の惑いもない。何の恐れもない。
2  戦後の再建にあたって、戸田先生は、「信教の自由」をはじめとするアメリカの恩義を、だれよりも深く噛みしめておられた。アメリカ創価大学は、その恩返しの思いを込めて、創立したものである。
 本日は、アメリカ創価大学の名誉学長であるバリツァー博士も、祝福に駆けつけてくださっている。じつは、博士は、今年の五月三日「創価学会の日」にも、真心あふれる祝電を寄せてくださった。その一部を紹介させていただきたい。
 「ユダヤの伝統には、師弟の絆の模範が多く存在します。この類いまれな師弟の関係性は、人間の向学心の原動力となり、責任感と志操を強くし、教育で人間を変革し、その結果、人間の本来の目的を完成させます。そして、これこそが創価教育の根幹にある魂であると、私は理解しております」
 「師弟の絆とは、隷属的な関係ではなく、むしろ、師も弟子もともに、新たな人間性の高みへと引き上げるものです。
 昔から、この教訓は知っていましたが、貴殿ならびに創価学会のことを知るまで、忘れておりました。この偉大な贈り物をくださったことに対し、この意義深き記念の日に、あらためて御礼申し上げます。
 また、師弟の絆が、平和と幸福のための諸条件を整えていくうえで、どれほど人間に大きな影響を与えうるか、貴殿は教えてくださいました。その意味において、『5・3』は、人類の進歩を示す記念日なのです」と。
 まことに過分な評価であるが、世界の良識が「創価の師弟」に寄せる信頼と期待として、後世に留めさせていただく。
3  「7・3」に刻まれた不屈の人権闘争
 「獅子は伴侶(はんりょ)を求めず」――「七月三日」から、新たな広布の闘争の火蓋を切られた戸田先生は、だれも頼らなかった。
 体は極度に衰弱。事業は完全に破綻。戦前の学会員の消息は、ほとんど不明。最悪の状況のなかで、戸田先生は、自分自身が強盛に「祈る」ことから出発されたのである。
 御書には仰せである。
 「何なる世の乱れにも各各をば法華経・十羅刹・助け給へと湿れる木より火を出し乾ける土より水を儲けんが如く強盛に申すなり
 ――どのような世の乱れにも、あなた方お一人お一人のことを、法華経よ、十羅刹女よ、助けたまえと、湿った木からも火を出し、乾いた土からも水を得ようとするごとく強盛に祈っています――。
 これが、流罪の地・佐渡にあって、門下を厳然と守りゆかれる大聖人の「祈り」であられた。
 人ではない。自分である。広布のリーダーは、まず自らが祈ることである。
 人を動かすのではない。自分自身がエンジンとなって、回転していくのである。そこに、すべての勝利の原動力がある。
 とくに青年は、求めて自らを鍛えなければならない。若い時からお金もある、何の苦労もない――では人物はできない。民衆を守る偉大な指導者になれるわけがない。
 苦労に苦労に苦労を重ねて、何があろうとも微動だにしない王者の自分自身を築きあげていただきたい。
 本日、アメリカSGIの本部では、青年部の記念の集いが行われている。
 後継のアメリカ青年部のたくましい成長が、私はうれしい。ニューヨークの文化祭や、フロリダでのSGI総会など、大きな歴史を創った青年部の健闘をたたえたい。
 この鍛錬の力を、職場で、家庭で、地域で、思う存分、発揮していただきたい。これが、私の願いである。

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