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日蓮大聖人・池田大作

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創価学会春期彼岸勤行会 陰の労苦に「ありがとう!」と

1996.3.20 スピーチ(1995.5〜)(池田大作全集第86巻)

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1  ″上七代・下七代の父母等″をも仏に
 皆さま、しばらくでした。
 八年ぶりの愛する和歌山である。戸田先生は和歌山が大好きであられた。私も和歌山が大好きである。
 四十年前(昭和三十一年)に初めて訪れて以来、温暖で、光あり、緑ありの美しき和歌山が心に焼きついている。黒潮の海も、青空も、緑の山も、清き川も、何より、美しき友の心が、いつも私の胸で光っている。
 きょうは、皆さま方の尊き宝城である立派な新文化会館を初訪問できた。
 築いてくださった、すべての皆さま、支えてくださっている、すべての皆さま、守ってくださっている、すべての皆さまに厚く御礼申し上げたい。
2  また本日は、春季の彼岸法要にあたり、和歌山をはじめ全国・全世界の友ならびに先祖代々の追善をねんごろにさせていただいた。
 日蓮大聖人は「上七代・下七代・上無量生下無量生の父母等存外に仏となり給う」と仰せである。
 皆さま方の信心によって、七代前の先祖まで、また七代先の子孫まで成仏させられる、また無量の先祖と子孫を仏にできると約束されているのである。
 それほど素晴らしい妙法である。それほど不思議なる、大事な存在の皆さまなのである。最高に親孝行な方々でもある。
 がっちりと宇宙の根本法則にのっとった人であり、これ以上はないという「無上道」の人生である。それを確信していただきたい。どんな有名人よりも、高位の人よりも尊い皆さま方なのである。
 愛する和歌山の友がお元気で、これほどうれしいことはない。和歌山の地涌の勇者は、本当に、けなげに頑張ってこられた。「連戦連勝」の和歌山である。
 皆さま方が、誠実に、堅実に、粘り強く、友好の波を広げておられる様子も、よくうかがっている。機関紙の拡大も見事である。
 皆さま方の日々の労苦は、すべて大聖人がご照覧である。この素晴らしい文化会館も、皆さまの無量無辺の福徳の証であろう。
 偉大なる健闘をたたえつつ、少々、記念に語っておきたい。
3  大聖人は嵐の中で門下に全魂の励まし
 今は乱世である。乱世で大切なことは何か。
 それは、陰の人に「ありがとう」と声をかけることである。
 建治三年(一二七七年)の春、身延の日蓮大聖人のもとに、一人の婦人門下が参詣に来た。
 彼女の名前はわからない。ただ池上兄弟にゆかりの人であったと思われる。彼女は馬に乗ってやって来たが、馬は池上兄弟の弟・宗長むねながの一家の配慮だったからである。今で言えば、車で送ってあげたり、車を手配してあげることに通じるかもしれない。
 日蓮大聖人は、この時、家長の宗長にではなく、その奥さんに御礼の手紙を書かれた。
 「此度此の尼御前大事の御馬にのせさせ給いて候由承わり候、法にすぎて候御志かな・これは殿はさる事にて女房のはからひか
 ──(先日は、仏器を御供養されたうえ)このたびは、この尼御前(婦人の在家門下)を大事な御馬に乗せてくださったとうかがいました。とても通常では考えられないほどの信心の真心です。これは、ご主人(池上宗長)は言うまでもありませんが、むしろ夫人のあなたのお心づかいであろうかと思います──。
 大聖人はこのように、「陰の人」である夫人に対して、わざわざ感謝の手紙を書かれたのである。
 御手紙をもらった夫人もどんなにか、うれしかったことであろう。
 その喜ぶ姿に、夫の宗長も、大聖人のこまやかな御配慮を感謝したに違いない。
 このころ、池上兄弟は、父親からの迫害の真っただ中にあった。その裏には大聖人を憎む邪悪な僧、良観の策謀があった。
 今また、和歌山の仏子も宗門の悪侶に苦しめられた。しかし、皆さまは勇敢に戦い、そして勝った。皆さまは広い和歌山の天地を、たがいに励ましあい、支えあって、駆けめぐっておられる。大聖人が、どれほど皆さまをたたえておられることであろうか。

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