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日蓮大聖人・池田大作

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第八回鼓笛隊総会 強くあれ、強くなければ正義はない

1995.12.17 スピーチ(1995.5〜)(池田大作全集第86巻)

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1  ″世界一の平和の天使″をたたえて
 ″世界一の平和の天使″鼓笛隊の皆さん、おめでとう!
 本当に立派な総会でした。二十一世紀を目指す「魂の響き」がありました。
 「人々を音楽で喜ばせよう!」と、青春を生き生きと乱舞する皆さま。その鍛えに、尊き人間教育がある。ただし、お父さん、お母さんが「勉強のほうは、どうなっているのか」と心配されているかもしれない。明日からは勉強である。
 昨日、創価大学の「第九」の演奏会があったが、ティンパニを力強く打った後、すばやく手を当てて余韻を止めていた。きょうも同様であった。
 これと同じように、総会の余韻にひたるのではなく、ぱっと気持ちを切り替えて、自己の課題に挑戦していただきたい。
 世界一の鼓笛隊を、これまで育んでこられた代々の鼓笛部長が出席されている。
 また、遠いところ、鑑賞に来てくださった皆さまに感謝申し上げたい。
2  インド・ガンジー家との審議と友情の交流
 私はこれまで、多くの世界の指導者と会見してきた。どの方も印象深いが、ひときわ忘れ得ぬ思いを抱いた方が二人いる。二十一年前(一九七四年)の十二月に会見した、中国の周恩来首相と、十年前(一九八五年)の十一月に会見した、インドのラジブ・ガンジー首相である。
 ガンジー首相が暗殺されたのは、四年前の五月であった。天から遣わされたかのごとき、気高きかんばせは、今も私の胸に若々しく生き続けている。
 首相は写真愛好家で、絵日記のように、写真を撮り、残しておられた。それらから厳選して、来年(一九九六年)の春、首相の写真展を東京富士美術館で開催する予定である。
 その際、首相が愛用されたカメラなど、貴重なゆかりの品も展示してくださる予定になっている。私を信用してくださっての特別出品である。私は世界各国と固い信義と友情を結んでいる。
 ガンジー首相の夫人であるソニア女史とも、令嬢のプリヤンカさんとも近しい語らいを重ねてきた。
 お父さまとよく似ているプリヤンカさんは、お会いするたびに、りりしき成長に目を見張る。青春の「成長する息吹」に満ちておられる。インドの国を救おう、民衆を救おうと、内外の障害に負けず、亡き父の遺志を継ぎ、母上とともに真剣に行動されている。まことに聡明な、哲学と知性と人格の光る、二十一世紀の世界の女性リーダーである。
3  ご存じの通り、プリヤンカさんのひいおじいさんは、ネルー初代首相。おばあさんは、インディラ・ガンジー第三代首相である。
 ネルー首相は、インドの独立闘争のなかで、九回にもわたって投獄された。実に三千二百六十二日(約九年)もの投獄を耐え抜いたのである。偉人は、皆、迫害される。迫害されない偉人などいない。
 牢獄の中からネルー首相が、十代半ばの娘・インディラに世界の歴史をつづって送ったエピソードは、まことに有名である。素晴らしき親と子の交流である。その中で父・ネルーは、娘に、こう語りかけている。これは牢獄で元旦を迎えた時の手紙である。
 「われわれが克服すべき障害がなく、われわれがかちとるべきたたかいがなかったなら、われわれの生活は、たがのゆるんだ、色あせたものになってしまうだろう。
 そして、これからの生活のかどでに立とうとしている、わたしのだいじなおまえは、世の中のあさましさ、むごたらしさに、かまけてはならない。おまえは、あかるく、澄んだおちつきをもって、生活と、そして生活上に起ってくるすべてにたいし、どんなに困難が、おまえの行くてにふりかかって来ようとも、それを迎えるのに、それを乗りこえるよろこびをもってするように」(ネルー『父が子に語る世界歴史』3,大山聰訳、みすず書房)
 まったく、この通りである。苦労が人間をつくる。戦いもない、挑戦もない、嵐もない、平々凡々の人生では、偉大な人格ができるはずがない。待っているのは、人間としての堕落である。
 この手紙につづられたような勇敢な心、朗らかな魂は、父・ネルーから娘・インディラへ、母・インディラから息子・ラジブへ、そして父・ラジブから娘・プリヤンカさんへと、脈々と流れている。
 創価学会も同じである。崇高なる創価の精神は、牧口先生から戸田先生へ、戸田先生から私へ受け継がれた。そして私から皆さまへと受け継がれていくのである。
 これこそが平和のため、文化のため、広宣流布のため、そして、世界と人類の未来のための、最も重要な「魂の継承」である。

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