Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

関西最高協議会 「健全なる人間性」の土壌を社会に

1995.5.23 スピーチ(1995.5〜)(池田大作全集第86巻)

前後
1  若草のように伸びゆけ!
 はじめに、全関西の皆さまの活躍に深く敬意を表したい。輝かしい勝利の黄金史をつづっておられる。心よりご苦労さまと申し上げたい。
 少年の日より、私の胸に刻まれて離れない一詩に、「踏まれても踏まれても なお咲く タンポポの笑顔かな」と──。
 十三年前の春、兵庫の友と、この一節を語って懇談したことも懐かしい(昭和五十七年四月十七日、当時の兵庫文化会館で)。
 ここ大阪の地にも、兵庫の地にも、そして愛する全関西の地にも、可憐な草花が咲き、そして、わが婦人部の皆さまが、希望の花をけなげに咲かせておられる。
 大文豪トルストイの名作『復活』の冒頭でも、春の陽光を浴びて力強く蘇る若草の姿が描かれている。
 どんなに傷めつけられようとも、どんなに抑えつけられようとも、″根っこ″のある限り、若草は萌え出ずる。敷きつめられた石の間からさえも、たくましく伸びていく。
 トルストイは、そうした光景の中に″生きゆく喜びと感動″を見いだしていたのである。
 植物も、生きよう! 生き抜こう! と懸命に力を発揮している。
2  生活に、地域に、信頼の根を張り
 大阪・兵庫には、沖縄の出身の方も多いと伺っている。
 美しき″平和の要塞″沖縄研修道場には、「タコノキ」という木がある。この木を通して、少々お話ししたい。
 「タコノキ」は幹の下部から何本もの気根きこん(空気中に出ている根)をタコの足のように出して、ガッチリと大地に「根」を張っている。ゆえに、海からの強風にさらされても、びくともしない。
 学会の強さも同じである。学会は、民衆の大地に、どっしりと「根」を張っている。ゆえに、いかなる圧迫にあっても揺るがない。学会の勝利は、まさしく民衆の勝利なのである。
 植物の根っこは、目に見えないところで、全体を支え、守り、全体に活力を送り、栄えさせている。
 それだけではない。根っこは周囲の環境をも変える。すなわち、根っこは、自分が根を張ったその場所の″土壌″をも豊かにしていく。
 たとえば、松の木などのように、硬い岩場でも、食い込んで育っていく木がある。その根っこは生長しゆく強い圧力で、少しずつ岩を砕いていく。
 また根っこは、盛んに呼吸をして炭酸を出したり、酸を分泌して溶けにくい鉄などの成分をも徐々に溶かしてしまう。そうやって硬い岩石をも突き崩し、土に変えていくのである。
 広布の運動にあっても、地域に、社会に、根を張ることが大事である。特に、近隣を大切にし、近隣に″人間としての信頼″を広げゆくことを忘れてはならない。
3  一方、砂丘などのやせた不毛な土地に進出した植物は、まさに先駆者としての使命を果たす。その根っこは生ある限り、周囲の土の中から、わずかな養分をもかき集め続け、そして死んでいく。そのように、みずからの体に蓄えた滋養によって、その土地を肥沃にし、次の世代に譲っていくのである。

1
1