Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第2回ヨーロッパ・アジア交流会議 振興が深化するほど開かれた人間に

1994.6.12 スピーチ(1993.12〜)(池田大作全集第84巻)

前後
1  宗教社会学者が見たSGI
 このほど、イギリスのオックスフォード大学出版局から、『A TIME TO CHANT(ア・タイム・ツー・チャント)』(唱題する時)と題する本が発刊された。(=邦訳『タイム トゥ チャント──イギリス創価学会の社会学的考察』〈中野毅訳〉は一九九七年十月に紀伊国屋書店から刊行)
 これは、世界の宗教社会学を代表する学者、ブライアン・ウィルソン教授(学術機関・国際宗教社会学会の初代会長)が、ベルギーのルーベン大学のドブラーレ教授(同・第三代会長)とともに、イギリスのSGI(創価学会インターナショナル)運動と、メンバーの実態について、学者としての調査・分析し、まとめたものである。
 私もこれまで、両教授と語り合い、ウィルソン教授とは対談集『社会と宗教』(講談社刊。本全集第6巻収録)も上梓した。
2  この本ではたとえば、イギリスのSGIメンバーの交友関係を調査した部分では、次のような分析をしている。
 すなわち、多くの新しい宗教運動は、その一員になることによって、今までの人間関係や、外の世界とのつながりを断ってしまう傾向が強い。
 ところが、SGIの場合は、他の宗教運動にみられるような全体主義的傾向(個性を無視する傾向)とは反対に、開放的で寛容な精神に基づく運動を展開している。
 その結果、信仰の深まりとともに、組織における親しい友人も増えていくが、同時に、組織外の友人との交流も積極的に広げている。つまり、信仰が深まれば深まるほど、活動に参加すれば参加するほど、メンバーは内外に、大きな友情の輪を広げていることが明らかになった──と。
 ウィルソン教授は、こうした、社会に広く開かれたSGIの活動の在り方を、高く評価されている。
 また、この研究では、メンバーの多くが、自立した個人として、社会のさまざまな分野で活躍していることに注目している。そして、これは、人間の生命の尊厳を説き、他の人に奉仕する重要性を教える大聖人の仏法の必然の帰結である──と結論している。
3  SGIの運動は個人の創造性を開花させる
 日本でも芸術部の皆さまが活躍されているが、イギリスでも、芸術や社会奉仕の分野で活躍されているメンバーが多い。
 ウィルソン教授らは、芸術の分野での高い比率に着目し、次のような指摘をされている。すなわち、これまでキリスト教は、過去、何世紀にもわたり、芸術に対して、否定的な立場をとることが少なくなかった。とくに演劇や音楽などの舞台芸術には、敵意さえ、あらわにしてきた。
 ところがSGIの運動では、価値の創造、そして人間の生命を豊かにする文化・教育の重要性を訴えながら、それらを真剣に推進している。
 この宗教は、芸術に温かな手を差し伸べながら、人々の創造的才能を開花させていく宗教である。したがって、メンバーに芸術家が多いことも何ら不思議ではない──と。
 さらに、SGIが平和問題や環境問題、難民救済、教育・文化活動など幅広い分野で活躍していることを教授は高く評価されている。その意味で、SGIは新しい社会運動の中で群を抜いていると。

1
1