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日蓮大聖人・池田大作

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第77回本部幹部会、「聖教新聞」配達員… 今、民衆は進歩する、求道の人が輝く

1994.4.25 スピーチ(1993.12〜)(池田大作全集第84巻)

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1  戦いで勇者こそつねに勝者
 遠いところ、ご苦労さま。全国の皆さまも、本当にご苦労さまです。(拍手)
 きょうは、四月二十三日。この日に生まれ、ちょうど同じこの日に亡くなった著名な文豪がいる。イギリスの劇作家シェークスピア(一五六四〜一六一六年)である。今年一九九四年は、生誕四百三十年。
 イギリスSGI(創価学会インタナショナル)のリッチモンド会館は、シェークスピアが一時、滞在したといわれる、大変に由緒ある館である。
2  シェークスピアは、ある劇(『ヘンリー六世』)の中で、フランスを救った乙女ジャンヌ・ダルクを生き生きと描いている。
 イギリスとの戦いに敗れ、逃げることばかりを考えている、王子とその臣下たち。そこに、さっそうと、十七歳のジャンヌ・ダルクが現れる。女子部のような、凛々しき姿である。
 ジャンヌは、あくまで戦うよう説得するが、王子は心を決めかねた。臣下たちも、乙女を見下して、″そんな少女の言うことなど聞かずに、城を捨てて逃げましょう″と、王子に弱腰の訴えを繰り返す。
 城を守り、人々を守るべき王子たちが、いざという時に情けない臆病の姿をさらけ出してしまった。臆病者は、最後は悲惨である。
 日蓮大聖人は、「あへて臆病にては叶うべからず候」と述べられている。決して臆病であってはならない。臆病であっては願いもかなわない。たとえば、剣を持っていても、剣を抜いて戦わなくては切ることができないのと同じである。
 王子たちの臆病の心を断ち切るように、ジャンヌは叫ぶ。
 ″私たちの城を断じて守るのです。皆、何という弱虫ばかりでしょうか!″と。
 「創価学会を守るのです!」──と叫ぶ女性の方々のようである。彼女は、王子たちの″心″を変えた。
 根本は″心″である。人数でも、財力でも、建物でも、軍勢の力でもない。所詮は、″心″が勝負を決する。
 大聖人は、「ただ心こそ大切なれ」と仰せである。これが大聖人、また釈尊の仏法の結論である。
 ある方が、この東京牧口記念会館に隣接するナポレオン広場にあるナポレオン像の台座の言葉を読まれ、「本当に感銘しました」と語っておられた。そこには、「最後は『精神』が必ず『剣』に打ち勝つ」(ナポレオンの言葉)とある。
3  口では立派なことばかり言って、いざとなると逃げ腰になる弱虫を、ジャンヌは叱咤した。そして、男性たちに向かって、こう言い放つ。
 「息が続く限り戦うのです。私がついています」(『ヘンリー六世』小津次郎・喜志哲雄訳、『世界古典文学全集』43所収、筑摩書房)
 この勇気の声に、王子は立ち上がった。
 ″そうだ! 自分たちの城だ。自分たちで守らなくてはいけない″──。ここから、状況が一変していった。この痛快な場面は、あまりにも有名である。
 ″命ある限り、戦い続けよ″″命ある限り、希望を捨てるな″──シェークスピアは、ジャンヌの言葉を借りて、こう訴えた。

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