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最高幹部協議会 世界に友人を、それが先進国

1993.3.25 スピーチ(1993.1〜)(池田大作全集第82巻)

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1  ナイジェリアのことわざ「人に施した恩恵は失われぬ」
 昨日の本部幹部会では、ナイジェリアのドゴン=ヤロ大使が心温まるスピーチをしてくださった。大使とは、この五年間、ちょうど十回の忘れ得ぬ思い出を刻んだ。
 一昨年(一九九一年)の十一月二十九日には、大使をはじめとして在東京アフリカ外交団(二十カ国・機関)が「教育・文化・人道貢献賞」を贈ってくださった。
 また、創価大学記念講堂の落成記念式典(九一年四月三日)、千葉文化友好祭(九一年十一月十六日)にも来賓として出席され、祝福してくださった。ナイジェリアの元国家元首であるゴウォン氏(九〇年十一月十一日)、オバサンジョ氏(九二年四月十七日、十月二十八日)との会見にも同席された。
 それら一つ一つの出会いを、私は決して忘れることができない。
 ドゴン=ヤロ大使は、各地の学会の会館も訪問されている。つい先日(三月六、七日)も長野を訪れ、会友を含め約二千五百人の方々に″私が見た学会の素晴らしさ″を訴えられたという。
 まことに厚き信義の人である。深き見識の人である。そして豊かな人格の人である。
2  大使はナイジェリアのカヌリ(民族)の出身である。
 カヌリのことわざに「真実の友人は、もろ手で抱えよ」と。
 真実の友情ほど美しいものはない。私たちは、この豊かな無上の財産を大切に抱きしめていきたい。
 ほかにも、こんな素晴らしいことわざがある。
 「人に施した恩恵は、失われない(みずからの財産となる)」
 大使が、ナイジェリアと日本の友好に尽くされた偉大なる功績も、大使の広やかな人格のなかに永遠の輝きを放っている。
 人のために悩み、祈り、動いた分だけ、自分が豊かになっていく。「失われない宝」を積むことになる。私たちは、だれに対しても、春風のように温かな一人一人でありたい。
 さらに「希望は世界の柱である」ともある。
 今回、離任され、人生の新章節を開始される大使の希望の前途を、私は祝福したい。とともに、大使をはじめ世界の良識が、私たちSGI(創価学会インタナショナル)に「二十一世紀の希望」との期待を寄せてくださっていることは、まことにうれしい。その期待にお応えできるよう、いよいよ誠実に、いよいよ堂々と前進してまいりたい。
3  ツヴァイク「国家の順番は人間性を尺度にしたい」
 ところで今回、訪れたラテン・アメリカの国々は、いわゆる「第三世界」と呼ばれる、経済的にはこれからの国である。そのため、日本人のなかには、あからさまに、また陰で見みくだす人々もいるようだ。アフリカに対しても、同様である。
 しかし、先進国・途上国の違いは、単に「経済」だけを基準にすべきではないであろう。否、″金持ちかどうか″だけで、その国を判断しようとすること自体が、最も「非文化的な国」の証拠ではないだろうか。
 ブラジルをこよなく愛したオーストリアの作家・ツヴァイク(一八八一〜一九四二年)については、私はブラジル文学アカデミーでの講演(二月十二日、同アカデミー在外会員就任記念講演。「人間文明の希望の朝を」)でもふれた。
 彼は、晩年の著書『未来の国ブラジル』に、種々の統計表にこう書いている。
 「表による最も文化・文明の発達した国とは、最も生産が活発で、消費と個人資産の総額が最も多い国ということになる。しかしこれらの統計表には一つの重要な要素が欠けている。欠けているのは人間精神の算定で、これこそが我々の考えでは、文化や文明の最も本質的な尺度である」
 その国の人間の「精神」は、目に見える数字には表れない。しかし、そこにこそ「文化」の実体がある。
 「従って我々は国家に順番をつける場合に、産業、経済、軍事的価値でなく、平和的精神と人間性に対する姿勢を判定の尺度としたい。
 この意味で──わたしにとって最も重要なことだが──ブラジルは世界で一番模範的であり、それゆえに最も尊敬に値する国の一つに思える」

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