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日蓮大聖人・池田大作

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イタリア代表者会議 希望!それは心の「金の翼」

1992.7.2 スピーチ(1992.6〜)(池田大作全集第81巻)

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1  皆さまの永遠に裕福な人生を
 十一年ぶりに、ここミラノを訪れることができた。「広宣流布」のために戦っておられる、お元気な皆さま方とお会いでき、本当にうれしい。
 イタリアの、そしてミラノの、この目覚ましい発展ぶり──まさに驚異的である。日本をはじめ、全世界が驚嘆し賛嘆している。重ねて、そのご活躍を、心からたたえたい。
 私は皆さまの「幸福」を祈ります。一人も残らず「福運」と「価値」の人生を築いていかれるよう、祈りに祈ります。
 先日、フィレンツェ市長より、意義深きフィオリーノ金貨を頂戴した。ご存じのとおり、この金貨は、もともと十三世紀の半ば、フィレンツェで鋳造されたものである。
 それは、ちょうど日蓮大聖人が、立宗宣言をなされたころである。当時、この金貨は、ヨーロッパの各地に流通し、フィレンツェが、経済の一大中心地として繁栄しゆく道を開いた。
 金貨には、「花の都・フィレンツェ」を象徴する、気高い「百合の花」が刻まれている。ちなみに、「百合の花」は、創価学会婦人部の花である。
 私は、この金貨を、大切なイタリアの皆さま、また、全世界のSGI(創価学会インタナショナル)婦人部の皆さまが、永遠に「裕福」の人生を歩んでいかれる証の一つとして、お受けしたと信じたい。
2  ヴェルディとイタリア国民復興運動
 先日(六月二十八日)の、「イタリア芸術音楽祭」(イタリア文化会館)は、まことに見事であった。役員の方々をはじめ皆さま方に、改めて「ご苦労さま」と申し上げたい。
 あの折、イタリアが生んだ偉大なる音楽家ヴェルディ(一八一三年〜一九〇一年)の素晴らしい作品も聴かせていただいた。マッツァ元上院議員はじめ来賓の方々も、感動しておられた。
 きょうは、その感謝の思いも込めて、ここミラノで活躍したヴェルディについて、少々お話しさせていただきたい。
 先日(六月十六日)、エジプトのカイロで、「日本・エジプト合同公演」が、大成功のうちに行われた。その友情の舞台の冒頭を飾ったのは、オペラ「アイーダ」の合唱であった。これまた、ヴェルディの作品である。
 ″全イタリアの心臓は、ひたすらに「ナブッコ」や「リゴレット」のリズムにのって鼓動しているほどである″と記した音楽家がいるが、ヴェルディは、イタリアの民衆がこよなく愛する音楽家である。
3  なかでも、歌劇「ナブッコ」は、一八四二年、ミラノ・スカラ座で初演されると、またたくまに全イタリアの人気を集めた。とりわけ、「行け、わが胸の思いよ、黄金の翼に乗って」の合唱は、多くの人々の心をとらえて離さなかった。芸術音楽祭でも聴かせていただいた歌である。
 当時、イタリアは、他国の支配下にあった。人々は、″捕らわれのヘブライ人たちが、鎖につながれながらも祖国への熱き思いを歌い上げる″との力強いコーラスに、自分たちイタリア人の心を重ねた。他国の「くびき」につながれた姿を、二重写しに見ていた。
 「ナブッコ」は、イタリア人の心の底にある祖国への熱い思いに火をつけた。″イタリアに、自由を!″──その日を待ち望む人々の心に希望の「翼」をつけ、大きく羽ばたかせた。今も″第二のイタリア国家″と評されるほど、広く知られ、愛されている。
 また、ヴェネツィア・フェニチェ劇場での公演では、観客が立ち上がり、オーストリアの官憲が居並ぶボックス席に、これ見よがしに三色旗(イタリアの国旗)を振って、足を踏みならしたという。
 やがてヴェルディは、イタリア統一を願う国民復興運動(リソルジメント)の象徴的人物の一人と、みなされていった。

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