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日蓮大聖人・池田大作

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イタリア文化会館での懇談会 君よ!自身の「永遠の都」を

1992.7.1 スピーチ(1992.6〜)(池田大作全集第81巻)

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1  わが学会の同志愛は永遠
 フィレンツェでは、役員の皆さまに、大変お世話になり、心から感謝申し上げたい。これからミラノへ行きますが、できれば再来年、世界青年平和文化祭に合わせて、また、このイタリア文化会館を訪問したいと願っている。
 どうか世界で一番、仲の良い「永遠の家族」「永遠の同志」「永遠の友」として、生き抜いていただきたい。そして、理想的な「永遠の都」を築いていただきたい。
 ここイタリアを舞台に書かれたホール・ケイン(イギリスの小説家、一八五三年〜一九三一年)作の小説『永遠の都』。
 この波乱万丈のドラマを、戸田先生から「君にあげよう」と差し出されたのは、一九五一年(昭和二十六年)の新春、私が二十三歳の時であった。
 内容については、皆さま、ご存じのことと思うが、鮮烈な革命の書であり、友情の書である。
 主人公の若き革命家デイビッド・ロッシは「人間共和の永遠の都」を目指して、時の政治権力と宗教の権威に、敢然と挑戦する。
 外からは列強諸国の圧迫。内からは腐敗した政界と聖職者による抑圧。民衆は何重にも苦しんでいた。重税。飢え。希望なき生活──。
 ロッシは一人、立ち上がった。民衆の心を我が心とし、民衆の声を若き体にこだまさせながら、叫んだ。戦った。
 「われわれはいったい何をなすべきか。人間としてのわれわれにあたえられた義務とは、不正と圧制に直面して民衆の主権を強く主張するということであります」
2  政府への弾劾演説。コロシアム(古代ローマからの巨大円形競技場)での国民大会。軍隊の出動、弾圧。ロッシは亡命する。彼の「永遠の同志」ブルーノ・ロッコは、捕らえられ、拷問また拷問が続いた。それでもブルーノは屈しない。
 「ロッシが、お前を裏切っているぞ」との、偽手紙を使った陰険な策謀にも、ブルーノは負けない。同志を信じ切っていた。「永遠の友」であった。
 「デイビッド・ロッシ万歳!」──彼の最後の叫びを、小説のヒロイン、ドンナ・ローマはこう書いている。
 「きょうというこの日まで、人間性が神性になり得るものとはついぞ知りませんでした。それは、ほんとうに神聖なものですわ」「彼が最後に叫んだときの声は、いまなおわたくしの耳もとに鳴り響いています。それは勝利の声──欺瞞に打ち勝った勝利、誘惑に打ち勝った勝利、嫉妬に打ち勝った勝利、なかでも自分に打ち勝った勝利の声だったのですわ」と。
 ″自分に勝った勝利″こそ根本の勝利であり、永遠の勝利である。
3  明後日は「七月三日」。戸田先生が出獄され(一九四五年)、私が入獄した(一九五七年)──師弟の不思議、師弟の不二の歴史を刻んだ日である。
 戸田先生の入獄中、同志は退転した。学会は崩壊した。戸田先生だけが牧口先生を裏切らなかった。
 出獄され、一人、荒野に立たれた戸田先生の血涙の思いを、私は痛いほどよくわかる。そして後を継ぐ私に、この書を「読め」と言われたお心も。
 私は十四人の同志を選んで、回し読みし、戸田先生を囲んで、感想発表会をもった。後に「水滸すいこ会」へと発展しゆく、青年の鍛錬の集いであった。
 「永遠の妙法」を根本に、民衆が「永遠の幸福」を楽しみきっていける「永遠の都」。その建設に同志は走った。裏切りもあった。反逆もあった。最も民衆を守るべき僧侶の大背信も続いている。しかし私は屈しない。
 恩師はつねに「裏切り者は出るものだ。そんな敗北者のしかばねを、君たちは堂々と乗り越えて前に進め」と叱咤された。小説「永遠の都」にも、卑しい裏切り者の数は多い。
 私はどこまでも戸田先生に誓った「広宣流布」という革命の道を行く。まっすぐに進む。一身に難を受けていく。これが「七・三」の心である。

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