Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第1回静岡合唱友好祭 今こそわれらが誇りを歌え

1991.10.13 スピーチ(1991.10〜)(池田大作全集第79巻)

前後
1  希望の歌声を日本へ、世界へ
 静岡は見事に勝ちました!大成功、おめでとう。素晴らしい青空もおめでとう!
 きょうは、静岡文化会館をはじめ県下二十三会場にも静岡の同志が集っておられる。本当にご苦労さま!
 すべての演目が素晴らしい。「平和のかね」を歌ってくれた吉川英二さんもありがとう。
 また演奏された「美しく青きドナウ」は、世界的名曲であるが、次の合唱友好祭では「美しく青き浜名湖」という歌を作って合唱してはいかがだろうか(賛同の大拍手)。ぜひとも、その希望の歌声を、日本中に、世界中に広げていただきたい。
 富士山のある静岡は、″世界の静岡″。そして、この浜名湖も″世界の浜名湖″であると思う。地理的にも東海道のちょうど真ん中に位置する。さまざまな意味で重要な場所である。皆で、この地に広布の理想的な国土を築いていただきたい。
2  同志愛で独裁者を破ったユーゴ人民軍
 きょうを記念して、一点、第二次大戦中の歴史を通してお話ししておきたい。
 狂気の独裁者・ヒトラー。彼は、無数の悲劇を生んだ。一国も団体も家庭も、たった一人の指導者によって、幸福にも不幸にも動いていく。父親が酒乱とか、母親が嫉妬深くヒステリーであるとか、それだけで皆、苦しみ、おびえて暮らさねばならない。言うまでもなく、ヒトラーによる悲劇は、筆舌に尽くしがたい。
 一方、独裁者への抵抗のなかで、無数の「人民の英雄」も生まれた。善と悪、正と邪──その相克そうこくは永遠である。「成仏」も「天魔」と戦い、打ち勝つところにある。
 これは、現在、不幸なことに内戦が続いているユーゴスラビアの話である。平和への祈りを込めて語っておきたい。
 第二次大戦中、ユーゴは、ヒトラーのナチス軍に占領された。ユーゴの軍隊のなかにも、ナチスに協力する者が多く出た。戦っているふりだけをする者も──。いつの世にも変わらない人間模様である。
 そうしたなか、徹底抗戦を続けたのが、チトー(のちのユーゴスラビア大統領)率(ひき)いるパルチザン部隊である。
 これは、まさに人民軍であり、正規の軍隊ではない。いわば″同志の軍隊″であった。年寄りもいる。女性もいる。子供も一緒である。彼らは神出鬼没しんしゅつきぼつのゲリラ戦を展開して、強力なナチスの軍隊を苦しめた。
3  奴隷となるか正義を守るのか
 一九四三年三月、両軍は、ネレトヴァ河畔かはんで壮烈な激戦を繰り広げた。有名な戦いである。
 どちらが勝つか──この勝敗で祖国の運命は大きく決する。日本でいえば、規模は小さいが、「川中島の戦い」を思い出す。
 しかし、戦況はパルチザン軍に、大変不利であった。彼らは、兵隊として正式の訓練も受けていない志願兵の集まり。一方、ナチス軍は、近代的武器も完璧かんぺきに整備されている。
 不利なのも当然であった。そのうえ、ヒトラーは「殲滅せんめつ作戦」と称して、主力的な軍隊をそこに投入した。一人も残らず、皆殺しにせよ──独裁者の絶対の命令であった。
 おまけに、人民軍のほうは、チフスにもやられ、約三千から四千人の病人や負傷兵を抱えていた。どうするか──。
 この時の模様をユーゴの映画「ネレトヴァの戦い」は、こう描いている。
 ネレトヴァ河畔は、うめき声で満ち満ちていた。雪は降りしきる。敵は、そこまで近づいている。
 爆撃に次ぐ爆撃──皆、おびえきって、顔を地面に伏せるしかなかった。このままでは全滅である。祖国は、独裁者の奴隷どれいになってしまうのか。人民の自由はもう永久に失われてしまうのか──。

1
1