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日蓮大聖人・池田大作

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霧ケ峰・第三回研修会 希望! 汝の力は偉大なり

1991.7.27 スピーチ(1991.4〜)(池田大作全集第77巻)

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1  われらは御書を基準に、明確に判断
 歩むべき「正しき道」を知っている人は幸福である。道に迷い、道を見失った人生は闇である。ジャングルをさまようように、苦悩の足取りとなろう。きょうもまた、多くの人々のため、後世のために、広宣と人生の「道」について、何点かにわたり語っておきたい。
 最初に、根本である御書を拝したい。私どもは、つねに、御書を学び、御書を基準に、日蓮大聖人の仰せどおりに進む。
 建治元年(一二七五年)七月十六日、四条金吾は他宗の僧と「諸法実相の法門」について法論した。金吾は、その様子を大聖人に書面で報告申し上げたのであろう。このことが、御書の中に記されている。さて、金吾の報告に対して、まず大聖人は「諸法実相」について″簡潔″に、そして″明快″に御指南されている。そのうえで大聖人はこう仰せである。
 「良薬に毒をまじうる事有るべきや・うしほの中より河の水を取り出す事ありや、月は夜に出・日は昼出で給う此の事諍ふべきや、此れより後には加様に意得給いて御問答あるべし、但し細細は論難し給うべからず、猶も申さばそれがし我等の師にて候日蓮房に御法門候へとうち咲うて打ち返し打ち返し仰せ給うべく候
 ――良薬に、わざわざ毒をまぜることがあるであろうか。潮の中から、河の水を取り出すことがあるであろうか。月は夜に出、太陽は昼に出る。これはあえて言い争うような事がらではないであろう。これから後には、このように心得られて問答をしなさい。ただし、こまごまと相手の非をつく議論はなさるべきではない。なお、それ以上、相手が言うようであれば、「私の師匠である日蓮房に対して問答なさい」と笑顔をもって、繰り返し繰り返し言われるがよい――。
2  仏法は道理である。道理は万人に″明快″なものである。これに対し、詭弁は複雑になりがちである。煙幕を張ったように、もっともらしい、へ理屈を組み合わせる。
 しかし、道理の″太陽″が昇れば、それらの″霧″はすべて晴れていく。私どもには御書の明確な基準がある。その光に照らして、万事、明確に判断していけばよいのである。
 厳然たる「事実」の前には、後からつけたどんな理屈もむなしい。言葉で事実を消すことはできない。私どもが、「広宣流布」を大きく進めてきたことは議論の余地のない事実である。その前進のなかで、一人一人が幸福の実証をつかんできたことも、だれ人も否定できない。(拍手)
 さらに、大聖人が仰せのごとく、つまらぬ言いがかりにいちいちつきあって、煩わされる必要もない。真摯な対話を求めてくるのならともかく、最初から仏子を苦しめ、揚げ足を取ろうとして近づいてくる邪な論難に、振りまわされる必要はない。
 私どもには大聖人がついていてくださっている。面倒なことは「大聖人にうかがいなさい」と笑って言いきればよいとの御指南である。今でいえば「御書を読んでください」「御書のとおりですよ」と言いきっていけばよいのである。
 戸田先生もよく言われたが、私どもは、いわゆる″宗教のための宗教屋″などではない。
 自身のため、そして民衆の幸福のために信仰したのであり、大聖人の仏法を根本として、人生に、生活に、社会に、すべてに勝利し、豊かに価値創造しゆくために行動しているのである。
 一切を御書に照らしながら、低次元の難くせなど笑いとばし、おおらかな心で余裕しゃくしゃくと進んでまいりたい。
3  ガンの治癒と心の関係に医学も注目
 さて、「健康」は「幸福」の大切な条件である。そして、どんな病においても、強き心で病気に挑戦していくことが重要である。仏法では、「色心不二」の生命観を説く。肉体(色法)と精神(心法)が一体不二に深くかかわっていることが明かされている。
 この点については、ノーマン・カズンズ氏との対談集『世界市民の対話』(毎日新聞社)でもふれた。また、昨年暮れ(一二月十五日)にガン研究の権威であるカナダ・モントリオール大学のルネ・シマー副学長とも語り合った。シマー副学長とは、さらに対話を重ねて「対談集」を発刊することになっている。
 シマー副学長も述べられていたが、病気における精神と肉体の関連については実験などが行いにくい。生身の人間にストレスを与えて病気にすることなどは、倫理的にも問題が多いからである。そうしたことから、精神と健康の関係について具体的に断定することはむずかしく、諸説があるようである。しかしながら、この問題については社会の関心も高い。そこで、これまで発表された学説などをふまえつつ、ここでは、ガンと心の関係について一側面から考察してみたい。
 ガンの発生、治癒については、精神的要素が関係をもつという。放射能や発ガン物質、ウイルスなどの物質的な原因とともに、精神的なストレスや幼児期からの生活環境が大きく影響を及ぼしていることが、いくつかの統計的な調査からうかがえる。
 たとえば、発病の前に、妻や夫あるいは子どもの死などの重要な人間関係を失い、そのショックから長期間にわたって立ち直れないこと、またそのとき、悲哀、不安、怒りなどの感情をうまく表出できずに、長い間、自分自身を責めさいなみ続ける――このような傾向が強いと、ガンに対する抵抗力を弱めてしまうといわれる。
 つまり、生きがいをなくし、抑うつ状態(気持ちがふさぎ沈んだ状態)などが長く続くと、ガン細胞の増殖、進行をはやめ、予後(病後の経過)をいっそう悪くするのである。逆に、新たな生きがいを発見し、目標に向かって前向きに生きぬいていこうという強靭な意志は、ガン細胞を退縮させることに有効であるといわれているようだ。(カ―ル・サイモントン他共著『がんのセルフ・コントロール』近藤裕監訳、創元社)

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