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日蓮大聖人・池田大作

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関西会・長野の代表研修会 「権力に従うな、法に従え」

1991.7.25 スピーチ(1991.4〜)(池田大作全集第77巻)

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1  「苦」を離れ「楽」を得るのが信心
 このすばらしい長野青年研修道場に集っての研修会。関西会と長野の代表の皆さま、本当におめでとう!(拍手)
 リーダーが「健康」で、はつらつとしていれば、組織は前進する。喜びと張りが生まれ、活気がみなぎる。学会伝統の研修会は、みずみずしく「信心」を錬磨し、生命の「健康」を培い、つねに新しく出発しゆくための集いである。また、そのための研修道場でもある。どうか、青空のもと、緑の中で伸び伸びと語り、歩き、浩然の気を養っていただきたい。
 そして、身体の健康とともに大切なのが、心の健康、精神の鍛えである。あまりに気持ちのよい天気なので、もう何も頭に入らない(笑い)という人もいるかもしれないが、一刻一刻が貴重な時間である。わずかな時間でも私はむだにしたくない。そこで簡潔にスピーチとして残し、「広布」と「人生」のための有意義な研修としたい。(拍手)
2  仏法の本意は、すべての人間が平等に″楽しき人生″″希望の人生″を開きゆくところにある。
 御書には「仏法は自他宗異ると雖も翫ぶ本意は道俗・貴賤・共に離苦得楽・現当二世の為なり」――仏法は自宗、他宗の違いはあっても、それを習う本意は、僧侶と在家、身分・地位の差別なく、ともに、現世と来世にわたって、苦しみを離れて楽しみを得るためである――とある。
 だれよりも楽しき人生を生きゆくための信仰である。現在から未来へ、かぎりない希望を開いていくための信仰である。この一点においては、だれ人も平等であるとの言である。
 この仰せを拝する時、信仰者の″楽しき人生″を妬み、圧迫し、破壊する権利は、だれにもない。苦しめられて我慢せねばならない義務もない。(拍手)
 次元は異なるが、音楽や芸術も、そうした楽しき人生、未来への希望の、表現であり、発露であるといえる。御書にも引用されているが、中国の『礼記(楽記)』には「治世の音は安んじて以て楽しむ其の政和げばなり」(平和な世の音楽はやすらかな調べで、民衆が楽しむ。それは政治が平穏だからである)とある。
 戸田先生も「民族の興隆のときには、必ず歌が起こる」と言って、庶民の歌声をこよなく大切にされた。民衆が伸び伸びと朗らかに歌声をあげ、音楽を、芸術を楽しんでいける。それこそ平和の証であり、また賢明なるリーダーシップのあらわれである。逆に、民衆の歓喜の歌声を封ずるようなことは、まさに、圧政の象徴であることは歴史が証明している。
3  コロンビア建国の父(サンタンデル将軍)の正義と迫害
 さて先月二十四日、南米コロンビアのバルコ前大統領(一九二一年九月生まれ、当時・駐英大使)とロンドンで再会した。午前中、サッチャー前首相と再会した日の午後であった。
 立場は変わっても、友情は変わらない。変わらないからこそ友情である。席上、前大統領は、コロンビア共和国の初代大統領であるサンタンデル将軍(一七九二年〜一八四〇年)のことを熱っぽく語られた。
 大統領時代、みずから将軍の全記録を出版する計画を進められ、それは百巻を超える大事業となった。この日も、書斎に案内してくださり、「百数巻のうち持っておられない巻があれば全部、さしあげます。日本にお持ち帰りください」とまで言われた。
 「わが国をつくった人ですから」――サンタンデル将軍のことを宣揚したいという情熱の理由を、前大統領は淡々とこう語られた。
 つねに「原点」を大切にし、探究し、つねに「原点」から出発する。その、バルコ前大統領の信条と行動に、私は感銘し、何かの機会に、日本で将軍のことを語る約束をした。そこできょうは、コロンビア建国の父サンタンデル将軍の生き方をとおして、少々お話ししたい。

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