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日蓮大聖人・池田大作

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第十八回全国婦人部幹部会 「哲学」と「幸福」の世界一の婦人平和運動

1991.5.25 スピーチ(1991.4〜)(池田大作全集第77巻)

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1  婦人部の「結成四十周年」、本当におめでとうございます!(拍手)
 学会の婦人部は、世界一の婦人平和団体である。その根底は、仏法を基調とした、「哲学」と「平和」と人類の「幸福」のための運動である。史上かつてない、この一大婦人運動は、世界の婦人運動史に永遠に輝きゆくことは間違いない。(拍手)
 ともあれ学会婦人部は、日蓮大聖人の仏法史上、最高の広宣流布史をつづってこられた。これほどの流布、これほどの正法興隆は、今まで絶対になかった。これからも、他ではとうていなしえないであろう。(拍手)
 御本仏日蓮大聖人の御称讃は、わが婦人部を幾重にもつつんでくださっていると確信していただきたい。そして、この栄光の学会婦人部とともに、尊き使命の一生を飾っていただきたい。その人が幸福にならないはずがない。そのご一家が繁栄しないはずがない。これが御本仏のお約束であられるからだ。(拍手)
2  わが誉れはすべて母のものなり
 母は、青年を育てる。青年の活躍は、母の功績である。母は壮年を支える。壮年の活躍は、母の力の証明である。
 アメリカのプリンストン大学といえば、有名な名門校である。かつて、こんな話を聞いた。ある年の卒業式のこと、最優秀の学生を表彰する恒例の行事が始まった。
 「わが大学の誇りとする卒業生を紹介します」――学長が厳かな声で告げると、白皙はくせき(色が白いこと)の一人の青年が壇上に進んだ。
 講堂の拍手に、青年は静かに謝辞を――。ところが、続いて、彼はこう語った。
 「しかしながら、この栄誉は、私が受けるべき栄誉ではありません。これは、すべて私の母が受けるべきものです。なぜなら、私が今、こうしていられるのも、ことごとく母の労苦のたまものだからです」
 青年は、こう言うと、壇を降り、父母席にいる母の手を取って、助けるように起こし、皆に紹介した。その瞬間――たちまちに起こる満場の拍手、また拍手。なかには感動のあまり、涙ぐむ人々も多かった。
 最優秀賞の紹介の折の拍手など問題にならない、万雷の喝尖が続いた。この青年こそ、のちに同大学の学長となり、さらにアメリカの第二十八代大統領となったウィルソン(一八五6年〜一九二四年)その人であった。(=大統領在職は一九一三年〜二一年。第一次大戦をはさむ激動の時代である)
3  人々は感動した。彼の「恩」を知り、「恩」を忘れず、「恩」に報いる、美しい心に――。
 御書にも恩を強調されているとおり、知恩、報恩は人間性の精髄である。忘恩は人間性の放棄である。
 ウィルソン青年は、傲らなかった。良心に従って生きた。自分のなすべきことへの責任感が強かった。のちに彼は大統領として、国際協調主義を訴えた。また世界大戦の惨禍を見、国連(国際連合)の前身である「国際連盟」を提唱。平和の大統領として、歴史に燦然と名をとどめている。
 私は思う。彼の平和行動の基盤は「母の恩」を忘れぬという、深き人間性にあったと。そして「国際連盟」の一原点も、こうした人間性に、さらには彼を育てた一人の母に求められるかもしれない。
 大政治家は、人間としても大きい。深みがある。鍛えられている。「人間」ができていなければ、後世に残る大事業もできるはずがない。政治に限らず、人間の世界の万般にわたって、そうである。その意味で、何より「人間」として生きたウィルソン大統領の若き日のエピソードを紹介させていただいた。
 なお、アメリカの最高の名門校であるハーバード大学から講演の依頼があり、実現の方向で現在、準備を進めている(拍手)。(=一九九一年九月、九三年九月と二回講演を行っている)

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