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日蓮大聖人・池田大作

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第四十二回本部幹部会、第七回壮年部幹部… 大偉業に生きる人は永遠に若い

1991.5.17 スピーチ(1991.4〜)(池田大作全集第77巻)

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1  ヴァイツゼッカー大統領の人生観
 全国の壮年部の皆さま、広宣流布の要として、社会の中核としての日夜のご活躍、本当にお疲れさまです(拍手)。また婦人部、青年部の皆さまも「お忙しいなかをようこそ! たいへんにご苦労さま」と申し上げたい。(拍手)
 学会の会合は、たがいに心を潤し、励まし合う″家族″の集いである。話も明快に、そして抽象論ではなく具体的でなくてはならない。本日も″さあ、やるぞ!″という、未来への希望、成長の糧となるような、確信満々たる出発の会合としてまいりたい。(拍手)
 とくに壮年部の皆さまにとっては、これからが人生の重要な仕上げの時である。社会的にますます責任も重く、精神的、肉体的な負担も大きくなってくる。だからこそ、尊敬と励ましに満ちた、うるわしき絆の前進が大切なのである。
 妙法に生ききった人は幸せである。「不老不死」の法理のままに、わが一生を満足で飾り、一日また一日を、若々しき、永遠への出発としていける。そうなるのが信心であり、広宣流布の活動であることを、強く確信していただきたい。(拍手)
2  きょうは、何の話から始まるのかなと、気になっている方も多いと思う(笑い)。″アメリカの話だろうか″″フランスだろうか″――。しかし、そうした予想がつねに覆されるところに、皆の楽しみもあるようだ(笑い)。そこで、きょうはドイツの話から入ることにしたい。(笑い、拍手)
 世界的な哲人政治家として知られる、ドイツのヴァイツゼッカー大統領。現代の政治家で、その識見の高さは最高峰とされている。大統領からは、西ベルリン市長時代(一九八一〜八四年)から、一度お会いしたいとの手紙もいただいている。
 大統領が、ドイツ敗戦から四十年にあたり議会で行った演説(八五年五月八日)は、世界の人々に大きな感動をあたえた。
 かつて犯したナチス・ドイツの罪を具体的にあげて率直に反省の念を述べ、「人間らしく生きたいという願い」と「平和への希求」をこめた、すばらしい、心に深くしみ入る演説であった。
 もちろん、この演説は、ドイツ国内でも多くの共感を集めた。一説によると、演説後の約ニカ月間に配布されたテキストは九十万部といわれている。演説の最後のほうでは、このように述べられている。
 「ヒトラーはいつも、偏見と敵意と憎悪とをかきたてつづけることに腐心しておりました。若い人たちにお願いしたい。他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい」「若い人たちは、たがいに敵対するのではなく、たがいに手をとり合って生きていくことを学んでいただきたい」(『荒れ野の40年――ヴァイツゼツカー大統領演説全文』永井清彦訳、岩波ブックレットNo.55)
 また、ヴァイツゼッカー大統領と若者たちとの対話は、ふつうのやり方と違い、若者たちを驚かせた。大統領は、こう語りかける。
 「一方通行にならないように、私にばかり意見を求めないで皆で意見を言ってほしい。私は前に座ってはいるが、全員が同じように参加できるような対話をしたい。また、私は皆のことを知らないが、皆は私のことを少しは知っている。この出会いを通して、皆のことを少しでも多く知りたいと思う」(ヘルムート・R・シュルツェ編『リヒャルト・フォン・ヴァイツゼツカー――あるドイツの大統領』ベルテルスマン社)と。
 ″立場を超えた、対等な人間同士の心通う語らい″――。牧口初代会長の時代に始まった、学会伝統の「座談会」の精神にも通じると思う。
 大統領は、ただ威圧的に、何かを教えるという態度ではなかった。対話が横道にそれていくのを穏やかに修正しながら、若者たちとの出会いを大切にし、若者たちの考え方から学ぼうとした。
 一方的な命令や通告によって、人がついてくると思うことは、あまりにも時代錯誤である。何より人間性にも道理にも反している。
3  ドイツを代表する新聞のインタビュー記事(「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」八四年六月十五日付)には、大統領との、次のようなやりとりが紹介されている。
 ――あなたにとって最大の不幸とは?
 大統領は「孤独です」と答えた。
 質問もいいが、答えもいい(笑い)。人間、孤独では生きていけない。独りで自分勝手に生きることが自由で幸せのように見えることもあろうが、実際はそうではない。
 人との連帯、励ましあいのなかでこそ、人間は生きがいをもち、使命感や向上心を失わないでいられるのである。人間連帯の世界に背を向けて生きることは、生きがいの放棄につながる。自己の責任から逃避する、ある意味で、ずるい生き方であろう。そして不満と後悔に満ちた寂しい人生となってしまうのではないだろうか。
 ″人類への責任″をみずから深く感じて戦っておられる大統領は、そうした「孤独」の生き方と正反対の人生を歩んでおられると、私は思う。
 ――あなたにとって現世における完全な幸福とは?
 答えは「日の出直前のカルヴェンデル山脈の登山」と。
 やはり「行動」である。ゆっくリテレビが見たいとか(笑い)、休みたいなどではない。

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