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日蓮大聖人・池田大作

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第一回長野県総会 わが生命の「幸福の官殿」開け

1990.8.12 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

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1  この人生を「健康」「長寿」で活躍を
 晴れの総会、本当におめでとう(拍手)。長野といえば、文化と教育の地域である。そこで本日は、当初、トルストイの「死生観」について語りたいと思っていた。これは、国際的に著名なソ連の作家アイトマートフ氏との語らいでも話題になっているテーマである。
 しかし、今は、暑さも厳しい折である。むずかしい話をしても、頭に入らないのではないか(笑い)。入らないものを無理に入れてもいけない(爆笑)。そこでトルストイの話は他の機会に譲らせていただきたい。
 第二代会長の戸田先生は、長野が、そして軽井沢がお好きであった。もう三十三年も前になると思うが、戸田先生とともに、北軽井沢の照月湖を訪れたことがある。詩情ただようその静寂な湖に、私の胸は詩人に立ち返った。その時のことが忘れられず、先日、群馬から長野に向かう途中、立ち寄ってみた。しかし、訪れてみて驚いた。当時の面影はなかった。すべては変化、変化の連続である。しかたのないことかもしれない。
 ただ、どのように変化していくのか。とりわけ人間にとっては、大事な問題である。その意味から、くれぐれも数十年あとに、″あの時、長野研修道場で、あれほどさっそうとしていた人が、今はこんなわびしい姿に変わってしまったのか″と言われないように(爆笑)、成長の日々を重ねていっていただきたい。
 ともあれ、ここ長野は、戸田先生との思い出が尽きない。
2  さて健康であること、丈夫であることは、人生の舞台で悠々と活躍していくための大切な要件である。
 戸田先生は、戦時中、当時小学四年生であったご子息に宛てて、獄中から手紙を送られている。(以下、『小説人間革命』第一巻参照)
 ――先生は、正法流布の戦いのために獄に入られた。そして、出獄されて後もまた広布の戦に立たれた。まさに連続闘争の生涯であられた。なんと偉大な、なんとすばらしい人生であったことか。人生は、すべてが戦いである。戦って戦いぬく勇者こそ、人生における真の勝利者なのである。
 手紙には、こう書かれている。
 「一切の修養の大本は『丈夫』になること、強い男らしい身体をもつことだ。丈夫になるのは、一心に『丈夫』に俺はなるとまずきめて、さてどうするかは、後は自分の工夫だ」と。
 健康になるためには、長寿であるためには、どうすればよいのか。当然、御本尊に真剣に祈っていくことが根本である。とともに、まず、健康になるための具体的な工夫と努力を重ねることが肝要である。
 何事も、向上と成長を図るためには、どのような具体的な方途をとるかを明快にしていかねばならない。お母さんが子どもに「唱題しなさい」「勉強しなさい」とばかり言っても、子どもはなかなか言うことをきかないものだ。そういう″原則論″を言うことで、自分が安心していられるのかもしれないが(笑い)、子どもにとっては、どうしたら唱題ができ、勉強ができるようになるかという″具体論″が必要なのである。
 信心指導においても同じである。信心も、生活も、現実であり、そこでは、原則論のうえに、現実に問題や悩みを解決していくための具体論が要求される。ゆえに的確にして具体的な指導ができてこそ、信心の名指導者といえよう。
 戸田先生は、こうした手紙で健康の基本を教えられながら、獄中でご子息の丈夫で健やかな成長を祈り続けられた。父と子が同じ時間に唱題するという、「父子同盟」を結ばれてもいた。
3  私も、病弱な体をなんとか丈夫にしたいと思い、努力してきた。戸田先生も私の身を案じ、さまざまな方法を教えてくださった。まことに慈愛深き、ありがたき師であった。
 少年時代、丈夫な体をつくりたいとも思い、私は小学六年生の時から新聞配達を始めた。朝のいい空気を吸いながら、足腰を鍛えた。その二年間の新聞配達が、後に広布の戦いで、日本国中、世界中を回る体力の基礎をつくったと思っている。
 また、家業の海苔製造業を手伝った。海苔づくりは、厳寒の季節での仕事である。時には、午前三時、四時に起床しなければならない。また、水が冷たければ冷たいほど、質のいい海苔ができる。思えば厳しい仕事であった。
 夜明け前のこごえるような寒さのなかを起き出して家業の手伝い、そして新聞配達。学校から帰ってふたたび夕刊の配達と――この繰り返しのなかで培った体力が、後にどれほど役立ったことか。
 さらに、青年時代、私は胸を病み、体は極度の虚弱状態にあった。朝起きると自分の寝汗に驚くほどであった。痩せた胸は、肋骨が浮き出てしまい、医者は″もって二十数歳まででしょう″と言っていた。戸田先生も、″三十までしか生きられない体だ″と心配されていた。
 しかし私は生きた。広布に駆ける青春のなかで、病魔を克服していった。戦いに戦ったその生命力で、健康を勝ち得てきた。
 生命の力は無限である。かのハマー博士も、九十二歳にしてなお、世界を舞台に活躍しておられる。人間の可能性は、計り知れない。働けば働くほど、力がわく――これが体験のうえから得た、私の確信である。
 まして、信心に徹した人生を貫いていくならば、限りない生命力がみなぎっていくことは間違いない。そこでは、積み重ねてきた努力が、すべて生かされていくのである。
 どうか皆さま方も、信心を根本に具体的に工夫を重ねながら、「健康」と「長寿」の人生を生きぬいていただきたい。

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