Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第二十回全国青年部幹部会 学べ、動け、人生の春に

1990.3.9 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

前後
1  人間愛と情熱の詩人シェリー
 おかげさまで、アメリカ訪問も、すべての日程を無事、大成功のうちに終え、元気に帰国することができた。皆さま方に、心から御礼申し上げたい。(拍手)
 さて、いよいよ春である。花も咲き、鳥もさえずり、大空は光り始めた。風も暖かくなり、まさに青春の季節に入った。
 「冬きたりなば春遠からじ」――そううたったのは、イギリス・ロマン派の詩人シェリー(一七九二年〜一八二二年)である。自由と反抗を詠み続けた情熱の詩人。この言葉は、彼の詩「西風の賦」の中の一節にある。
 ――冬はつらく、さみしい。しかし、冬のあとには、必ず春がくる。同じように、不幸や逆境も、決していつまでも続くわけではない。必ずや希望が開け、喜びに輝く日がやって来る――詩人は、そうした人生の摂理を静かに見ぬき、そして美しくうたい、表現している。
 シェリーの実際の人生はどうであったろうか。
 地方貴族に生まれた彼は、小さいころから自立の心が強く、オックスフォード大学に入学したが、過激な行動から放校処分となった。また人道的な社会主義に感化され、生涯、反体制的な理想主義を貫く。私生活も奔放。若くて貧しい女性と結婚するが、彼女は自殺する。
 社会への反発と人間愛に満ちた作品は、徐々に評価を受け、イギリス文学史に輝かしい足跡を残す。そして彼は乗っていたヨットの事故で死亡する。三十歳の若さであった。
 「春遠からじ」とうたったシェリーには、ある意味で、最後に″春″は来なかったのかもしれない。
 世の中には、不幸から不幸へと流転しゆくだけの人生もある。懸命に生き、努力しても、いっこうに報われない人もいる。
 しかし、妙法は、根本的な幸福への転換を可能にする大法である。御本尊に唱題する私どもにとっては、絶対に″冬″ばかりが続くことはありえない。必ずや苦悩の水をとかす希望の″春″がやってくる。
2  ともあれ、春は、青年の季節である。ここかしこに「生」の鼓動が高鳴り、はつらつとした息吹が大地をつつむ。
 まさに人生の″春″を生きる諸君である。その最良の季節に、どうか、まっしぐらに自己の建設に向かってほしい。一日を十日、一カ月を一年にもしていくように、学び、働き、行動していただきたい。それが、そのまま青春の″黄金の日記″をつづっていくことになる。
 真剣な鍛えもない、求道もないような青春では、人間としての土台ができない。結局は人生の″春″を迎えることはできず、心は″冬″のままである。
 そうならないために、今は徹して学び、行動せよ、と申し上げておきたい。
3  ミッテラン氏――″徹する人″に人間としての勝利
 ところで、昨年(一九八九年)、フランスのミッテラン大統領とお会いした。強い信念と風格をたたえた人物であり、短時間ではあったが、闊達な語らいを終え、感銘は深かった。
 大統領についてのエピソードは数限りない。折あるごとにうかがった話であり、少々、飛躍があるかもしれないが、その点、ご了承願いたい。
 私がまず心を打たれるのは、ミッテラン大統領が人道省を設置するなど、「人権」というテーマに真剣に取り組んできた点である。
 とくにわが国は、国家権力やマスコミ等による人権侵害があっても論議が深まらず、人権意識はあまりにも低い。しかし、人権の確立は民主主義の根本である。これこそ、永遠に幸福を確立していく国家の基本でなければならない。
 また彼の、苦難に屈しない強靭さは、定評がある。
 大統領選挙に、一度ならず敗れた体験もある。だが、決してあきらめなかった。
 「あきらめることは、死を意味する」。それが、彼の信念であった。そして、ついに大統領の立場を勝ち得る。彼には″不死鳥″の呼び名すらあたえられている。
 勝つまでは決して戦いをやめない。ひたすらに挑戦し続ける。その不屈の気概は、ナチズムと戦った青春時代から彼の心に脈打っていた。
 若き日に、彼はこのようにつづっている。
 ″後退は敗北である。意志というものが屈してしまえば、いったい何が残るのか。妥協してしまえば、どうして本当の自由が勝ち取れるのか″
 彼の精神のなかには、戦いに″徹底する″強さが貫かれている。
 何事であれ、中途半端では勝てない。たとえ一時はそれでいいようにみえても、最後は必ず崩れて敗北していくにちがいない。これが人生である。
 いわんや、険難な広布の旅路である。中途半端では、広宣流布の達成はできない。一生成仏はできない。
 ″徹すること″こそ、勝利への要諦である。また、草創以来の学会精神であるといってもよい。
 何があっても屈しない。負けない。挑戦を続ける。ここに、生きている真実の証もある。
 どうか諸君は、この″徹底しゆく″信仰の姿勢を強く強く堅持していただきたい。(拍手)

1
1