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日蓮大聖人・池田大作

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アメリカSGI最高会議 誠実、公平、進歩の人に

1990.2.21 スピーチ(1990.2〜)(池田大作全集第74巻)

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1  アメリカSGIの三十周年、本当におめでとう。これまでの皆さまの労苦で、土台は完全にできた。立派な歴史を築いてくださった。今年は、この基礎のうえに、さらにすばらしい発展への新たなスタートを切る年にしてほしい。
 きょうはアメリカSGIの最高会議である。日本でも各方面・県で、それぞれ最高会議を行い、すべて協議と合議で民主的な運営がなされている。また会則、規則も明文化している。これらはすべて、盤石にして恒久的な発展のためである。
 アメリカも同じく、皆が安心し納得できるよう、組織や法人の運営のルールの明文化を、さらに進めていく時代に入ったのではないかと申し上げたい。
 そして皆の意見を聞く「公平さ」が大事である。意見を受け入れる「寛大さ」が、後輩の尊敬を生む。よき意見を言う人を大切にする「謙虚さ」が、人材を伸ばしていく。多くの人の意見を反映していくところに、結果として複眼的な見方となり、安定した歩みができるのである。
 何でも自由に語りあい、協議しあって、家族のごとく、兄弟のごとく、仲良く、一歩一歩と建設していく。仏法の世界は、そうした「民主の模範」でなければならない。
2  「進歩」しないリーダーは、魅力を失う。後輩もかわいそうであり、自分も行き詰まる。行き詰まり、人もつかないから、なおさら権威でしばったり、抑えつけるようになる。ますます人の心が離れていく。悪循環である。
 御書(1382㌻)には十四の謗法のうち「浅識」の罪が説かれている。たんに知識が浅いということではなく、そこにとどまり、求道心を失って、″学ぼう″としない姿勢を意味する。それは信心の後退である。
 リーダー自身が学びに学び、つねに成長し、つねに新鮮であることが即、組織の活性化と進歩に通じる。
 リーダーが変わった分だけ、組織が変わる。わが地域、わが国土の広宣流布が進んでいく。その意味でも、リーダーは「知性」を磨いていただきたい。私がさまざまな角度からスピーチを重ねているのも、その願いからである。きょうも、むずかしい点もあるかと思うが、少々語っておきたい。
3  アメリカ史の三十年周期
 アメリカの変化には、三十年ごとの周期がある。――これは、この国の著名な歴史家、A・M・シュレシンジヤー博士の説である。
 くわしい説明は省くが、著作の『アメリカ史のサイクル』によると、一九九〇年代は、三〇年代、六〇年代と、よく似た時代になるとの予想である。
 なるほど一九三〇年代は、フランクリン・ルーズベルト大統領が掲げた「ニュー・デイール政策」に象徴されるように、「平等」という建国の理想への挑戦があった。
 先日(二月十六日)会談したアーマンド・ハマー博士は、ルーズベルト大統領について、自分の会ったもっとも偉大な大統領とされていた。
 そして六〇年代は、ケネディ大統領の掲げた「ニュー・フロンテイア」政策に象徴されるように、「人権」を根本にした″新・開拓者精神″で、「人類の理想のトップランナー、アメリカ」を証明しようとした。またステューデントパワーに代表される対抗文化(カウンタl・カルチャー)の嵐が吹き荒れた。大いなる変革の時代であった。
 三〇年代、六〇年代と同じように、九〇年代も「理想主義の台頭」があるかどうか、それはわからない。ただ三十年とは、人間の一世代である。漢字でも「世」の字は、もともと「丗」(三十)を意味している。一世代ごとに、アメリカが建国の理想への″原点回帰″を繰り返しているという指摘は興味深い。
 三十年という年月は、世代の交代、若々しき「青年の台頭」を要求しているともいえる。それが自然の摂理でもあろう。
 三十周年を迎えたアメリカSGIに、今年を次へのスタートにしてほしいと願う一つの理由もここにある。

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